サイバーセキュリティでのBCPについて解説

サイバーセキュリティのBCPが重要性を増してきています。BCPは、企業がシステム障害などの危機に直面しても、事業活動を速やかに復旧するための経営戦略です。ITに依存するビジネスも多く、一方でサイバー攻撃が増加している今、BCPへの対策は重要な要素となっていくでしょう。

本記事では、サイバーセキュリティBCPの概要を解説しています。また、作成するときのポイントなども紹介しているため、セキュリティに不安を感じている方は参考にしてみてください。

サイバーセキュリティとは

サイバーセキュリティは、コンピュータシステムやネットワーク、データを保護するためのテクノロジー、実践方法、ポリシーを包括的に指す用語です。

近年、サイバー攻撃はますます高度化・巧妙化しており、企業や組織に深刻な打撃を与える可能性があります。影響は機密情報の漏洩や金銭的損失にとどまらず、顧客との信頼関係の崩壊やブランドイメージの毀損、さらには事業継続の危機にまで及ぶことがあるでしょう。

特に重要なのは、サイバーセキュリティが単なる技術的な課題ではなく、社会的責務としても認識されている点です。サイバー攻撃は、企業活動の混乱だけでなく、地域社会や個人の生活にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

企業はセキュリティ意識の向上や最新の防御技術の導入、従業員教育の強化など、包括的なアプローチでサイバーセキュリティ対策に取り組まなければなりません。

BCP(事業継続計画)の概要

BCP(事業継続計画)は、企業が災害や、システム障害などの重大な危機に直面しても、重要な事業活動を継続または速やかに復旧するための経営戦略です。

BCPの本質は単なる計画書の作成にとどまらず、組織全体のマネジメントシステムとして機能することにあります。特に重要なのは、事業中断時の具体的な対応手順と目標復旧時間の設定です。

災害発生から早急に事業を再開することは、取引先の競合他社への流出を防ぎ、企業の信頼性と競争力を維持するためにも重要となるでしょう。効果的なBCPの実現には、経営層がまず理解することと、全従業員の意識向上が欠かせません。BCPにより組織の危機対応力が強化され、信頼性に優れる企業体質を構築できます。

サイバーセキュリティとBCPの重要性

現代のビジネス環境では、サイバーセキュリティとBCPは、企業の存続と発展に欠かせません。特に、DXの加速により、ほぼすべての事業活動がITシステムに依存する状況となっており、システムの停止は即座に業務の麻痺や重大な損失につながります

近年、働き方改革の一環としてテレワークが急速に普及し、クラウドサービスやビデオ会議システムなどのICTツールの活用が一般化してきました。業務効率の向上や働き方の柔軟性をもたらす一方で、新たなサイバーリスクを生み出しています。

例えば、社外からの企業ネットワークへのアクセスやBYODに伴うセキュリティ上の脆弱性が増加しているのが現状です。

総務省の統計が示すように、サイバー攻撃関連の通信数は2018年から2021年にかけて約2.4倍に拡大しており、その手法も巧妙化・高度化しています。サイバーセキュリティとBCPの統合的な推進は、企業の社会的責任としても重要です。

顧客データの保護やサービスの安定提供など、社会的責任を果たすためにも、サイバーセキュリティとBCPへの取り組みは重要性を増しています。

出典:総務省/令和4年情報通信に関する現状報告の概要

サイバーセキュリティBCPを作成するときのポイント

サイバーセキュリティBCPを作成するときのポイントとして、次の3つのポイントを紹介します。

  • 優先順位をつける
  • ガイドラインを参考にする
  • 周知を徹底する

優先順位をつける

企業が利用できるリソースには限りがあり、すべてのリスクに対して完璧な対策を講じることは現実的ではありません。そのため、事業への影響度を分析し、各業務プロセスやシステムの重要度を評価することが重要です。

システム停止時の損失額や顧客への影響度、法規制上の要件などを総合的に分析し、優先度を決定します。特に危機発生時には、限られたリソースを効果的に活用しなければなりません。

顧客データベースや基幹システムなど、事業継続に直結する重要システムの復旧を最優先とし、それ以外のシステムは段階的に対応するなどの明確な方針が重要です。優先順位づけに基づく対応計画は、常に従業員に周知し、定期的な訓練を通じて実際に発生した際に効率良く動けるように対策しておくことが必要となるでしょう。

ガイドラインを参考にする

サイバーセキュリティBCPの策定では、信頼性の高い政府機関が公表しているガイドラインを活用することが効果的です。

経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」や、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の「政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン」、中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」など、さまざまな参考資料が無償で提供されています。

重要なのは、ガイドラインを単にそのまま採用するのではなく、自社の事業特性に応じてカスタマイズすることです。業界特有のリスク要因の追加など、ガイドラインの内容を実務レベルに落とし込む作業が必要となるでしょう。

また、定期的な見直しと更新も重要で、ガイドラインの改訂や自社の環境変化に応じて、BCPも進化させていく必要があります。

出典:経済産業省/サイバーセキュリティ経営ガイドライン 
出典:NISC/政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドライン 
出典:中小企業庁/中小企業BCP策定運用指針

周知を徹底する

サイバーセキュリティBCPの実効性を確保する上で、従業員への周知徹底と定期的な訓練が重要です。完璧な計画を策定しても、周知があいまいでは実際の危機発生時に従業員が適切に行動できません。

サイバー攻撃などの緊急事態が発生した際、多くの人々はパニックに陥りやすく、冷静な判断や行動が困難になるでしょう。そのため、平常時からの準備として、定期的な教育・研修や実践的な訓練の実施、マニュアルの整備などが必要です。

また、訓練を通じて明らかになった課題や改善点をBCPに反映し、より実践的な内容に更新していきましょう。継続的な取り組みにより、組織全体の危機対応能力が向上し、実際の緊急時にも冷静かつ効果的な対応が可能です。

BCP以外のサイバーセキュリティ対策について

BCP以外のサイバーセキュリティ対策として次の内容を紹介します。

  • ネットワークセキュリティ
  • 情報セキュリティ
  • アプリケーションセキュリティ
  • エンドユーザー教育

ネットワークセキュリティ

ネットワークセキュリティは、企業のデジタル面のインフラを保護する総合的な防御システムです。ハードウェア面では、専用のファイアウォール機器、侵入検知システム、侵入防止システムなどが挙げられます。これらの機器は、不正アクセスやサイバー攻撃からネットワークを物理的な防御が可能です。

ソフトウェア面では、アンチウイルスソフトやスパム対策ソフト、エンドポイントセキュリティなど、多面的な防御体制を構築します。電子メールセキュリティは標的型攻撃の主要な侵入経路となるため、高度な保護機能が必要です。

最新のネットワークセキュリティでは、AI機械学習を活用した異常検知や、クラウドベースのセキュリティサービスなど機能も向上しています。最新技術も組み合わせることで、進化し続けるサイバー脅威に対する効果的な防御が可能です。

情報セキュリティ

情報セキュリティは、企業や組織が保有するあらゆる情報資産をさまざまな脅威から保護するための取り組みです。保護対象には、顧客データや機密情報だけでなく、企業の知的財産や業務上のノウハウ、さらにはブランド価値や企業イメージなども含まれます。また、これらの情報を扱うIT機器やシステムも重要な保護対象です。

取り組みは一度きりのものではなく、継続的なプロセスとして運用されなければなりません。技術の進化やビジネス環境の変化に応じて、セキュリティ対策も常に見直し、更新していく必要があります。

また、全従業員がセキュリティ意識を持ち、日常的な実践を心がけることも成功の鍵です。情報セキュリティの3要素とも呼ばれる「機密性・完全性・可用性」のポイントに気を付けながら従業員への教育も含めて実施していく必要があるでしょう。

アプリケーションセキュリティ

アプリケーションセキュリティは、ソフトウェアの開発から運用までのライフサイクル全体を通じて、セキュリティを確保する取り組みです。脆弱性の検出と修正だけではなく、セキュリティに強いコーディングや脅威分析など、さまざまな開発プロセスとツールが含まれます。

現代のビジネスでは、Webアプリケーションやモバイルアプリ、クラウドサービスなど、多様なアプリケーションが利用されており、それぞれに固有のセキュリティリスクが存在するため特に注意が必要です。

効果的なアプリケーションセキュリティを実現するためには、開発段階からのセキュリティ設計を導入し、定期的な脆弱性診断と修正を実施することが重要です。これらを意識した上でのアプリケーション選定が必要であり、常に進化する脅威に対応する必要があります。

エンドユーザー教育

エンドユーザー教育は、従業員自身が情報システムやデジタルツールを安全かつ効果的に活用するための重要な取り組みです。教育プロセスを通じて、ユーザーは必要な知識とスキルを習得し、日常業務での適切な情報機器の利用方法や、セキュリティリスクに対する考え方を身につけられます。

エンドユーザー教育は、操作手順の説明にとどまらず、情報セキュリティの重要性やインシデント発生時の対応手順など、多角的な内容を含むことが特徴です。

エンドユーザー教育の実施により、システムの誤用や不適切な操作によるトラブルを防止し、結果としてサービス提供事業者への問い合わせ削減やセキュリティインシデントの予防にもつながるでしょう。

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今からできる!サイバー攻撃から守る方法

すぐにでもできるサイバー攻撃から守る方法として次の内容を解説します。

  • セキュリティソフトを導入する
  • ソフトウェアは最新の状態にする
  • 複雑なパスワードを設定する
  • 不審なメールやフォルダは開かない

セキュリティソフトを導入する

セキュリティソフトの導入は、サイバー攻撃から組織を守るための基本的な対策です。現代のセキュリティソフトは、単純なウイルス対策だけでなく、マルウェア検知や不正アクセス防止、フィッシング対策など多くの機能を有しています。

ポイントは、組織全体で統一されたセキュリティソフトを導入し、集中管理することです。使用するセキュリティソフトを統一することで、セキュリティポリシーの一貫した適用や、インシデントへの迅速な対応が可能となるでしょう。

セキュリティソフトの監視機能を活用することで、潜在的な脅威の早期発見や、セキュリティ状況の可視化も実現できます。ただし、セキュリティソフトはあくまでも対策の1つであり、他のセキュリティ施策と組み合わせることが重要です。

ソフトウェアは最新の状態にする

オペレーティングシステムやアプリケーション、セキュリティソフトなど、すべてのソフトウェアには脆弱性が存在する可能性があり、脆弱性はサイバー攻撃の侵入口となりかねません。

脆弱性が発見されると、セキュリティパッチやアップデートがWeb上で公開されます。アップデートには脆弱性の修正や新たな脅威への対応、パフォーマンスの向上などが含まれていて、定期的なアップデートを怠ると、既知の脆弱性を狙った攻撃に対して無防備な状態となりかねません。

最新の状態を保つためには、自動更新機能の活用や更新プログラムの適用状況を定期的に確認する体制の構築が効果的です。また、重要なシステムは、アップデートによる影響を事前に検証し、計画的に適用することで、業務への影響を最小限に抑えられるでしょう。

複雑なパスワードを設定する

複雑なパスワードの設定は、サイバー攻撃からアカウントを保護するための基本的な対策の1つです。理想的なパスワードは、大文字・小文字のアルファベット、数字、特殊記号を組み合わせた12文字以上の文字列であり、複雑にすることで解読される可能性を低減できます。

単純な単語や生年月日、連続した数字などの推測されやすい組み合わせは避け、ランダムな文字列を使用しましょう。また、複数のサービスで同じパスワードを使い回すことは、パスワードが漏洩した場合に他のアカウントも危険にさらされるため、避けなければなりません。

パスワード管理ソフトを活用することで、複雑なパスワードの生成や安全な保管、定期的な変更などの効率化が可能です。また、可能な場合は多要素認証と組み合わせることで、さらなるセキュリティ強化を図れます。

不審なメールやフォルダは開かない

不審なメールやフォルダを開かないようにしましょう。特に標的型攻撃やランサムウェアの多くは、メールの添付ファイルやリンクを通じて侵入を試みるため、不審なメールへの警戒は極めて重要です。

不審なメールの特徴としては、差出人のメールアドレスの不自然さ、危険さを強調する件名、不自然な日本語表現、普段とは異なる形式の添付ファイルなどが挙げられます。また、取引先や上司を装った巧妙な偽装メールも増加しており、送信元が既知の相手であっても、内容に不自然さを感じた場合は慎重に対応しなければなりません。

疑わしいメールを受信した場合は、添付ファイルを開いたりリンクをクリックしたりせずに、情報システム部門やセキュリティ担当者に報告するとよいでしょう。また、定期的な従業員教育を通じて、最新の攻撃手法や対処方法を組織全体で共有することも効果があります。

セキュリティの高いストレージは「ibisStorage」がおすすめ

本記事では、サイバーセキュリティでのBCPを解説しました。現代のビジネス環境では、サイバーセキュリティとBCPは、企業の存続と発展に欠かせません。特に、DXの加速により、ほぼすべての事業活動がITシステムに依存する状況となっており、システムの停止は即座に業務の麻痺や重大な損失につながります。

企業が利用できるリソースには限りがあり、すべてのリスクに対して完璧な対策を講じることは現実的ではありません。そのため、BCPを策定する際には、事業への影響度を分析し、各業務プロセスやシステムの重要度を評価することが重要です。

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