AI議事録ツールは業務効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めていますが、その利用には情報漏洩などのセキュリティリスクが伴います。
利便性だけを追求して導入すると、企業の機密情報や個人情報が外部に流出する重大なインシデントにつながる恐れがあります。
ツールが持つ潜在的な危険性を正しく理解し、適切なセキュリティ対策を講じることが、安全な運用を実現するための鍵となります。
目次
AI議事録ツールの利用で懸念されるセキュリティ問題とは?
AI議事録ツールは、会議の音声データやそれらをテキスト化した機密性の高い情報を取り扱うため、情報漏洩という深刻なセキュリティリスクを内包しています。
これらのデータが一度外部に流出すれば、企業の経営戦略や顧客情報が第三者の手に渡り、事業に多大な損害を与える可能性があります。
具体的にどのような経路で情報が漏れる危険性があるのかを正確に把握することが、効果的な対策を講じるための第一歩となります。
業務効率化の半面、情報漏洩の危険性も高まる
AI議事録ツールは、会議の文字起こしや要約作成を自動化し、従業員の作業時間を大幅に削減する効果をもたらします。
しかし、この利便性の裏側には、企業の機密情報が外部へ漏洩するセキュリティリスクが存在します。
例えば、ツールを提供するサーバーがサイバー攻撃を受けたり、従業員が誤った設定で議事録を共有してしまったりすることで、意図せず情報が流出する事態が考えられます。
業務効率化という大きな効果を安全に享受するためには、こうしたリスクを事前に認識し、万全の対策を講じてから運用を開始することが不可欠です。
セキュリティ対策を怠ると企業の信頼を損なう恐れ
AI議事録ツールの導入にあたりセキュリティ対策を怠ると、情報漏洩インシデントが発生する可能性が著しく高まります。
顧客情報や取引先の機密情報、あるいは自社の経営戦略に関する情報が一度でも漏洩すれば、直接的な金銭的被害だけでなく、社会的な信頼を大きく損なう事態を招きます。
失われた信頼を回復するためには、多大な時間とコストを要し、場合によっては事業の継続そのものが困難になることもあり得ます。
したがって、セキュリティリスクへの対策は、単なる情報管理の問題ではなく、企業の存続に関わる重要な経営課題として捉える必要があります。
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AI議事録ツールで発生しうる4つの情報漏洩シナリオ
AI議事録ツールを介した情報漏洩は、技術的な脆弱性から人的なミスまで、様々な形で発生する可能性があります。
どのような状況で情報が漏れるリスクがあるのか、具体的なシナリオをあらかじめ想定しておくことで、より実効性の高い対策を立てることが可能です。
海外では、実際に不適切な設定のツール利用が原因で機密情報が漏洩した事例も報告されており、対岸の火事ではありません。
ここでは、代表的な4つの情報漏洩シナリオを解説します。
会議の音声データが外部サーバーに送信されるリスク
多くのAI議事録ツールは、高度な音声認識処理をクラウド上で行うため、会議の音声データをインターネット経由で外部サーバーに送信します。
この通信経路が暗号化されていない場合、第三者にデータを傍受され、会議内容が漏洩するリスクがあります。
また、送信先であるクラウドサーバー自体のセキュリティ対策が不十分であれば、サーバーへの不正アクセスによってデータが盗まれる可能性も否定できません。
特に、データが国外のサーバーで管理される場合、現地の法規制やデータ保護の基準が国内と異なる場合があるため、利用するツールのデータ保管場所や管理体制を事前に確認することが重要です。
入力した会議内容がAIの学習に利用される可能性
AI議事録ツールの中には、音声認識や要約の精度を向上させる目的で、ユーザーが入力したデータをAIの学習データとして利用するモデルが存在します。
利用規約でこれに同意していると、自社の機密情報を含む会議内容が、意図せずサービス提供者のAIモデル開発に利用されてしまう可能性があります。
学習データに取り込まれた情報は、将来的に他のユーザーへの応答生成などに影響を与え、間接的な情報漏洩につながるリスクを生みます。
このような事態を避けるには、ツールの使い方として、入力データをAIの学習に利用させない「オプトアウト」設定の可否を確認し、組織として統一したルールを適用することが求められます。
作成された議事録が不適切に共有・管理される危険性
AI議事録ツールは議事録の共有を容易にしますが、その手軽さが人的ミスによる情報漏洩リスクを高める側面も持ち合わせています。
例えば、共有リンクの権限設定を誤り、インターネット上で誰でも閲覧できる状態にしてしまったり、本来の共有範囲を超えて関係のない人物にURLを誤送信してしまったりするケースが考えられます。
また、退職した従業員のアカウントが放置されていると、それが不正アクセスの足がかりとなる危険性もあります。
こうしたリスクを低減するには、ツールが備えるアクセス権限管理機能を活用し、正しい使い方を徹底することが不可欠です。
ツール自体のセキュリティホールを狙ったサイバー攻撃
AI議事録ツールというソフトウェア自体に脆弱性が存在した場合、それを悪用したサイバー攻撃の標的となる可能性があります。
攻撃者は脆弱性を突いてシステムに不正侵入し、サーバーに保存されている多数の企業の議事録データやアカウント情報を窃取しようとします。
特に、セキュリティアップデートが頻繁に行われていないツールや、安価な、あるいは無料のサービスでは、十分な対策が講じられていないケースがあり、リスクが高い傾向にあります。
サービス提供事業者が定期的な脆弱性診断を実施し、迅速に修正対応を行っているかどうかが、ツールの安全性を判断する上で重要な指標です。
情報漏洩を防ぐ!AI議事録を安全に利用するための基本対策
AI議事録ツールのセキュリティリスクを低減させるためには、具体的な対策を講じることが不可欠です。
技術的な対策はもちろん重要ですが、それだけでは不十分であり、社内での運用ルール策定や従業員への継続的な教育といった、組織全体での取り組みが求められます。
情報漏洩を未然に防ぎ、ツールを安全に活用していくためには、基本的な対策と正しい使い方を全社で徹底することが重要です。
ここでは、そのための具体的な方法を解説します。
機密情報を扱う会議での利用ルールを明確にする
AI議事録ツールを全社的に導入する場合でも、すべての会議で無条件に使用を許可する運用は避けるべきです。
特に、新製品の開発情報やM&Aに関する協議、未公開の財務情報、重要な人事考課など、極めて機密性の高い内容を扱う会議では、原則としてツールの利用を禁止するといった明確なルールを設ける必要があります。
また、取引先との打ち合わせで利用する際には、事前に相手方の同意を得ることを義務付けるなど、社外とのコミュニケーションにおける使い方の規定も整備します。
これらのルールをガイドラインとして文書化し、全従業員に周知徹底することで、不用意な利用による情報漏洩リスクを大幅に低減できます。
ツールに入力してはいけない情報を事前に定義する
AI議事録ツールの利用を許可する会議においても、特定の情報については音声での発話やテキストでの入力を避けるようルール化することが重要です。
具体的には、個人情報(氏名、住所、マイナンバーなど)、認証情報(ID、パスワード)、取引先から得た非公開情報などが該当します。
これらの「入力禁止情報」を具体的にリストアップし、社内規定として明確に定義します。
会議中にこれらの情報に触れる必要がある場合は、ツールの録音を一時停止する、あるいは議事録作成後に手動で該当箇所をマスキングするといった、具体的な使い方を従業員に徹底させることが求められます。
議事録へのアクセス権限を適切に管理する
AIによって作成された議事録は、企業の重要な知的資産であり、厳格なアクセス管理の対象としなければなりません。
多くのツールには、フォルダやファイル単位で閲覧・編集権限を細かく設定する機能が備わっています。
これらの機能を最大限に活用し、業務上その情報を知る必要がある従業員だけにアクセスを限定する「最小権限の原則」に沿った運用を徹底します。
例えば、プロジェクト関連の議事録はそのメンバーのみ、役員会議の議事録は役員のみが閲覧できるように設定します。
従業員の異動や退職が発生した際には、速やかに権限の見直しやアカウントの削除を行う体制を整えるなど、継続的な管理が不可欠です。
従業員向けにセキュリティに関する研修を実施する
高度なセキュリティ機能を備えたツールを導入し、厳格な社内ルールを策定しても、それを利用する従業員のセキュリティ意識が低ければ、情報漏洩のリスクを根絶することはできません。
ツールを安全に利用するためには、全従業員を対象としたセキュリティ研修を定期的に実施し、一人ひとりのリテラシーを向上させることが極めて重要です。
研修では、情報漏洩の具体的なシナリオや社内ガイドラインの内容、入力してはいけない情報の種類、正しい使い方などを具体例を交えて説明します。
なぜそのルールを守る必要があるのか、背景にあるリスクを理解させることで、従業員の自発的な遵守を促します。

安全なAI議事録ツールを選ぶためのセキュリティ確認項目
AI議事録ツールを安全に運用するための土台となるのが、導入前のツール選定です。
市場には多種多様なツールが存在しますが、自社のセキュリティポリシーを満たすものを見極めるためには、いくつかの重要な確認項目があります。
機能や価格といった表面的な要素だけでなく、セキュリティ対策の観点から各ツールを客観的に評価し、総合的に判断するプロセスが、将来にわたるリスクを回避するために不可欠です。
ここでは、ツール選定時に確認すべきセキュリティ項目を解説します。
通信・保存時のデータ暗号化が徹底されているか
ツール選定時にまず評価すべきは、データの暗号化に関する仕様です。
利用者のPCやスマートフォンからサービス提供者のサーバーへ音声データが送信される「通信経路」と、サーバー上でデータが保管される際の「保存状態」の両方において、強力な暗号化が施されているかを確認します。
具体的には、通信にはTLS1.2以上、データの保存にはAES-256といった標準的な暗号化方式が採用されているかが一つの目安です。
これらの暗号化が徹底されていれば、第三者による通信の盗聴や、万が一サーバーに侵入された場合の情報解読を防ぐことができます。
サービス提供者のウェブサイトや資料でこれらの情報を確認し、技術的な安全性を評価することが重要です。
AI学習にデータが使われない設定(オプトアウト)が可能か
自社の機密情報がサービス提供者のAIモデルの精度向上のために利用されることを防ぐため、入力データをAI学習から除外する「オプトアウト」の選択肢があるかは、ツール選定における極めて重要な評価項目です。
サービスによっては、デフォルトでデータが学習に利用される契約になっている場合もあります。
理想的なのは、そもそもAI学習にデータを利用しないと明言しているサービスや、管理者が組織全体で一括してオプトアウト設定を適用できるツールです。
利用規約やプライバシーポリシーを詳細に確認し、データの取り扱い方針が自社のセキュリティポリシーに合致するかを厳密に評価する必要があります。
不正アクセスを防ぐための管理機能が充実しているか
外部からのサイバー攻撃や内部関係者による不正な情報アクセスを防ぐためには、ツールが提供する管理機能の充実度を評価することが不可欠です。
確認すべき具体的な機能としては、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可する「IPアドレス制限」、IDとパスワードに加えて別の認証要素を要求する「二要素認証(2FA)」、ユーザーごとに閲覧や編集の可否を細かく設定できる「権限管理機能」、そして誰がいつどのような操作を行ったかを記録する「監査ログ機能」などが挙げられます。
これらの機能が自社の求めるセキュリティレベルで備わっているかどうかが、重要な選定基準の一つとなります。
サービス提供会社の信頼性やサポート体制は十分か
ツール自体のセキュリティ機能だけでなく、それを提供する事業者の信頼性やサポート体制も重要な評価項目です。
事業者がISMS(ISO/IEC27001)やISMS-CS(ISO/IEC27017)といった国際的なセキュリティ認証を取得しているかは、その組織のセキュリティ管理体制が客観的に評価されている証となります。
また、大手企業への豊富な導入実績も信頼性を測る一つの指標です。
加えて、セキュリティインシデントが発生した際や運用上の問題が生じた際に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかも確認が必要です。
日本語での問い合わせ窓口の有無や対応時間などを事前に把握し、安心してデータを預けられる事業者かを見極めます。
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継続的な安全を確保するための社内運用体制の作り方
セキュリティレベルの高いAI議事録ツールを選定し、詳細な利用ルールを策定したとしても、それで対策が完了するわけではありません。
サイバー攻撃の手法は日々進化し、ビジネス環境も変化するため、一度決めたルールが永遠に有効とは限りません。
ツールの安全性を長期的に確保するためには、導入後も継続的に運用体制を見直し、改善していく組織的な取り組みが不可欠です。
ここでは、そのための具体的な使い方や仕組み作りについて解説します。
定期的に利用ガイドラインを見直す仕組みを整える
AI議事録ツールを取り巻く環境は、技術の進歩や新たなセキュリティ脅威の登場により絶えず変化します。
そのため、導入時に策定した利用ガイドラインが現状にそぐわなくなることを見越し、定期的に内容を見直す仕組みを社内に構築することが重要です。
例えば、年に一度、情報システム部門や関連部署が主体となり、ガイドラインの見直し会議を実施することを制度化します。
その場で、ツールの機能アップデート、社内での使われ方の実態、新たなセキュリティ事例などを踏まえ、ルールの改訂が必要かを検討します。
このプロセスを通じて、ガイドラインの実効性を維持し、常に最適な使い方を組織全体で共有する体制を保ちます。
万が一のインシデント発生時に備えた対応計画を立てる
どれだけ万全な対策を講じても、情報漏洩などのセキュリティインシデントが発生するリスクを完全にゼロにすることは困難です。
そのため、万が一インシデントが発生した場合に、被害を最小限に抑え、迅速に復旧するための対応計画(インシデントレスポンスプラン)を事前に策定しておくことが極めて重要となります。
この計画には、インシデント発見時の報告ルート、対応チームのメンバーと役割、サービス提供事業者への連絡手順、影響範囲の特定方法、顧客や監督官庁への報告基準などを具体的に定めておきます。
事前に手順を明確化することで、有事の際にも冷静かつ的確な対応が可能になります。
最新のセキュリティ脅威に関する情報を常に収集する
AIツールを標的としたサイバー攻撃は、今後ますます巧妙化していくと予想されます。
企業のセキュリティ担当者は、このような最新の脅威に関する情報を常に収集し、自社の防御策が陳腐化していないかを継続的に評価する必要があります。
具体的には、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)などの公的機関が発信するセキュリティ情報や、利用しているAI議事録ツール提供元からの注意喚起などを定期的に確認します。
収集した情報を基に、必要に応じて社内の利用ガイドラインを更新したり、従業員へ注意を促したりするなど、プロアクティブな対策を講じることで、新たな脅威に対する防御力を高めることができます。
まとめ
AI議事録ツールは、会議における文字起こしの手間を省き、高い精度でテキストデータ化することで、企業の生産性向上に大きく寄与します。
しかし、その利便性の裏には、情報漏洩という看過できないセキュリティリスクが存在します。
このツールを安全に活用するためには、まず導入段階で、データの暗号化やAI学習への利用ポリシーといったセキュリティ要件を基準にサービスを慎重に評価し、選定することが不可欠です。
その上で、社内に明確な利用ガイドラインを設け、従業員教育を徹底するとともに、定期的に運用体制を見直す継続的な取り組みが求められます。
リスクを正しく理解し、多層的な対策を講じることで、AI議事録ツールは真に有効な業務効率化手段となり得ます。
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