日本発のソフトウェアを、半歩先の技術で世界へ。アイビスの次の10年が始まります
強固なユーザー基盤で収穫フェーズを迎えたアイビスは、次なる挑戦に進みます

アイビスはいま、企業成長における明確な転換点を迎えています。主力製品であるモバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」は、2011年のリリース以来、世界中で利用され、2025年9月には世界累計5億ダウンロードを突破しました。現在の月間アクティブユーザー(MAU)は約4000万人に達しており、これは当社にとって将来の成長施策を展開するための重要な基盤資産です。この安定したユーザー基盤を背景に、上場のタイミングで、広告収入中心の収益モデルからサブスクリプションをはじめとするアプリ内課金による収入を伸ばす方向へとシフトしました。
サブスクリプション課金売上高の前年比は、2025年12月期は175%、2026年12月期は144%を見込んでおり、分母の拡大に伴って成長率は緩やかになりますが、売上高の前年増加額は、2024年は3.57億円、2025年は5.14億円、2026年は5.29億円を見込んでおり、増加スピードは年々加速しています。そして、2027年以降もサブスク増加の速度と収益の質はさらに高まる見通しです。
もっとも、こうした収益基盤の強化による「収穫のフェーズ」は終着点ではなく、あくまで次の挑戦への通過点です。これまで積み上げてきた世界中のお絵かきユーザーという資産の価値を損なうことなく、収益モデルをさらに進化させ続けることで、長期的な企業価値の最大化を目指していきます。
創作の前提が変わる時代に、アイビスのミッションは新しいステップへ
当社のミッション「モバイル無双で世界中に“ワォ!”を創り続ける」は、ibisPaintが世界中で使われるようになったことで一定の成果を上げてきました。イラストという非言語のコミュニケーションを支えるツールとして選ばれていることは、当社にとって大きな成果であり、これまでの歩みが世界に受け入れられた証だと捉えています。その上で、ミッションは会社の成長と時代に合わせて進化するべきものだと考えています。近年、AIを創作や仕事の前提として「AI+自分の力」で表現することが当たり前の世代が、次の社会の主役になろうとしています。私たちはその変化を最前線で受け止め、新しい創作体験を生み出し続けるため、将来を見据えたミッションの見直しも視野に入れています。

一方、ビジョン「Boost Japanese Tech to the world(日本発のテクノロジーを世界へ)」はまだ道半ばです。ペイントアプリというニッチな領域で世界トップのポジションを築くことはできましたが、世界に通用する存在感を確立すべく、AIなど新しい技術を取り入れながら、より大きな価値の創出を目指します。そのためにも、ibisPaintの裾野をさらに広げながら、次の成長への挑戦を加速させ、ibisPaintの新機能または新しいクリエイティブ製品によるヒットを重ねていきます。日本発のソフトウェアのプレゼンスを、量と質の両面で引き上げることが私たちの使命です。
※ 2025年1月-11月、全世界、MAU、自社調べ
半歩先を取りにいくための、組織づくりと意思決定のあり方
アイビスの組織運営には揺るがない信念があります。それは、「高い技術のエキスパート集団であること」「スピーディな意思決定と実行を貫くこと」そして「継続的なチャレンジを文化として根づかせること」です。さまざまな業界で共通することではありますが、特にソフトウェア・アプリの分野においては“半歩先”を取りにいくことが勝負だと私は考えています。遅れて出ていけば勝率は下がる。だからこそ、小さな挑戦を絶えず重ねていく仕組みが必要です。
社内には、現場から機能提案が継続的に上がる社内提案制度を設けています。新機能の開発はもちろん、守りのための改修、コラボや分析のための開発など、事業として取り組むべき案件は常に積み上がっていますが、それらと並行して、社内提案制度からのアイデアも同じテーブルで検討し、優先順位を常に更新しながら前に進めています。意思決定の原則はシンプルです。まだやったことのないチャレンジを選ぶこと、そして短期と長期が競合するなら長期を優先すること。10年後に繋がる選択をし続けることが当社の信念であり、社会に提供する価値(Value)だと考えています。
クリエイティブ領域を軸に製品群の価値を高め、持続的な成長を続けます
製品開発において当社が長期で成長し続けるための基本方針は、クリエイティブの領域に注力し、ibisPaintをはじめとする複数の製品を通じた次世代の創作体験を提供していくことにあります。すでに成熟した大きな市場でシェアを競うのではなく、特定分野で確実に勝てる領域を見極めてトップを取り続ける。ibisPaintで培ってきた技術力やマーケティング戦略をベースに新たなクリエイティブ製品を継続的に生み出し、機能連携など相互のシナジー創出で製品群全体の価値を高めていくことで、売上や事業規模の飛躍的な引き上げを目指します。
この発想は、ibisPaintのこれまでの成長戦略とも地続きです。フリーミアムモデルにより世界でコアユーザーを積み上げ、上場のタイミングでサブスク強化に切り替える。MAUの飽和を想定し、収穫フェーズの準備を上場前から続けていました。これは、短期的な数字ではなく長期的な企業価値を高めるための選択です。10年後に「日本発のソフトウェアが世界で存在感を示す」未来を描き、その実現に向けたロードマップを描きながら、着実に取り組んでいきます。
サブスク×従量課金×AIで、創作体験と収益性を両立させる次世代のマネタイズ設計
中長期の持続的な成長を見据え、足元の成長戦略も着実に進めています。ibisPaintのマネタイズ設計は、サブスクを土台にさらに進化します。広告収入の約14倍の収益率であるサブスク強化は最重要課題の一つと認識しており、継続率を高める機能開発を続けています。

さらに、ユーザーが必要な機能を必要な分だけ利用できる従量課金制を導入します。月額300円と手頃なサブスクに加え、新機能や新サービスの価値に応じてご利用いただける課金体系により、創作活動の幅と奥行きを拡張していきます。特にAIによる新機能は機能の利用ごとに支払いができる従量課金制との親和性が高い仕組みです。価値と価格がそのまま連動する設計をつくり、ユーザー1人あたり収益の引き上げを目指します。
AIの活用については、過渡期のさまざまな議論を尊重しつつ、最終的には創作体験の向上や作業効率の改善など、いかにユーザーの創作環境をより良くできるかを基準に進めます。仕事や趣味の領域でのAI活用はすでに当たり前になりつつあります。変化を恐れず半歩先で活用し、半歩先でユーザーへ還元する。MAU4000万人という大きな資産を中心に、サブスク・従量課金・AI開発を重ね合わせながら、次のフェーズに向けた成長曲線を描いていきます。
時間を買うという選択で、成長を加速させるM&A戦略
ibisPaintという既存の資産による成長を拡大させる一方で、さらにM&Aによる成長加速にも取り組んでいます。これは2024年の春から検討を始め、2025年に実行しました。中長期での飛躍的な売上拡大を実現するには、時間と人材に限界があります。そこで、シナジーのある企業を迎え入れることで、成長スピードを上げる選択をしています。M&Aの狙いは一貫して「シナジー」です。2025年はibisPaintと親和性の高いスマホアプリ領域において、歌声合成事業という創作文化の文脈で相乗効果を見込めるテクノスピーチをグループに加えました。これを受けて、AI歌声合成アプリ「VoiSona」との連携を通じてイラストや動画制作に音楽表現を組み合わせるなど、動画と音楽を横断した新しい制作体験の実現に向けて段階的な取り組みを進めています。
さらにソリューション事業でのノーコード開発企業ゼロイチスタートのM&Aでは、開発期間の短縮、コスト削減、営業力の補完による利益率の向上を狙います。

M&Aは、人を一気に増やせない現実を踏まえた「時間を買う」ための戦略です。投資ペースと成長スピードのバランスを見極めながら、今後も継続的な検討を進めます。
日本発の技術を世界へ、プライム市場を見据えた次の10年に向けて
2023年3月のグロース市場上場以来、法人営業の信用や採用力が高まり、コンプライアンス・ガバナンス体制も含めて、企業としての基盤は確実に進化してきました。
次に目指すのはプライム市場へのステップアップも視野に入れた成長です。長期的な成長を見据え、3〜5年スパンで収益性の改善と事業基盤の強化を進めながら、持続的な成長を目指していきます。
MAU4000万人というユーザー基盤を中心に、AI活用や従量課金制の進化、そしてM&Aによるシナジーを重ねることで、持続的で再現性のある成長曲線を描いていきます。
アイビスにとって「挑戦」は手段ではなく、本質そのものです。10年後、日本発のソフトウェアが世界で確かな存在感を示している未来を、本気で実現しにいきます。その歩みを、ぜひ長い視点で見守っていただければ幸いです。

代表取締役社長