ゼロデイ攻撃の仕組みと対策、攻撃後の対処法も解説 

近年、サイバー攻撃はさまざまな手法が出てきており、ゼロデイ攻撃も対策が難しい攻撃手法の1つです。未知の脆弱性を狙うゼロデイ攻撃は、適切な対策と、攻撃を受けてしまった場合の迅速な対処が欠かせません。 

今回の記事では、ゼロデイ攻撃の特徴や被害内容を詳しく解説しています。また、ゼロデイ攻撃への対策は、攻撃を受けた場合の対処法も紹介しているため、ゼロデイ攻撃に不安を感じている方は参考にしてみてください。 

ゼロデイ攻撃とは 

ゼロデイ攻撃は、ソフトウェアに対する未知の脆弱性を狙ったサイバー攻撃です。ゼロデイ攻撃に関して、次の内容を解説します。  

  • ゼロデイ攻撃の仕組み 
  • ゼロデイ攻撃の特徴 
  • ゼロデイ攻撃とNデイ攻撃の違い 

それぞれの内容を詳しくみていきましょう。 

ゼロデイ攻撃の仕組み 

ゼロデイ攻撃とは、製品やシステムの開発者が未発見の脆弱性、または発見されても修正プログラムが提供される前の脆弱性を悪用する攻撃手法です。攻撃の種類は次の2通りがあります。  

  • 標的型攻撃 
  • ばらまき型攻撃 

 標的型攻撃では、特定の企業や政府機関などを狙って、その組織の重要な情報や機密データの窃取を目的とします。一方、ばらまき型攻撃は、できるだけ多くの被害者を出すことを目的とし、多数のユーザーに対して無差別に攻撃を仕掛けることが特徴です。 

攻撃手法としては、メールの送信や、Webサイトの脆弱性を利用して訪問者のデバイスに不正なプログラムを仕込むドライブバイダウンロード攻撃などがあります。これらの攻撃は、脆弱性が修正される前に行われるため、従来のセキュリティ対策では防ぐことが困難です。 

ゼロデイ攻撃の特徴 

ゼロデイ攻撃の最大の特徴は、脆弱性が公表される前に攻撃が行われるため、通常のセキュリティ対策が機能しないことです。システム管理者が定期的なアップデートを徹底していても、修正プログラムが提供されていない段階での攻撃を防ぐのは難しいでしょう。 

 また、この種の攻撃は、パターンマッチング型のセキュリティソフトでは検知が困難なことも特徴の1つです。開発元自体が脆弱性を認識していない攻撃であるため、既存のセキュリティ製品のデータベースには、その攻撃を特定するための情報が含まれていないことが多くあります。 

 攻撃者は常に新しい脆弱性を探し出し、これまでにない方法で攻撃を仕掛けてくるため、従来型の防御策では十分な保護を提供できません。 

 ゼロデイ攻撃とNデイ攻撃の違い 

ゼロデイ攻撃とNデイ攻撃は、どちらもシステムの脆弱性を悪用する攻撃手法ですが、その特徴と実行タイミングに重要な違いがあります。ゼロデイ攻撃は、脆弱性が発見されてから修正パッチが公開されるまでの期間に行われる攻撃です。 

一方、Nデイ攻撃は、脆弱性に対する修正パッチが既に公開された後に攻撃が行われます。Nは、ユーザーや企業がパッチ公開から適用するまでの期間が異なるための表現であり、対策手段は存在しているものの、ユーザーがまだパッチを適用していない期間が攻撃対象です。 

 そのため、適切なアップデートを行うことで、Nデイ攻撃に対しては防ぐ手段があります。 

ゼロデイ攻撃の被害 

ゼロデイ攻撃の具体的な被害は次の通りです。 

  • マルウェア感染 
  • 不正アクセス 
  • 顧客からの信頼を失う 

それぞれの被害内容を解説します。 

マルウェア感染 

マルウェアは、コンピューターウイルスやワーム、トロイの木馬、スパイウェアなど、デバイスやシステムに害を及ぼす悪意のあるプログラムの総称です。ゼロデイ攻撃では、未知の脆弱性を悪用してこれらのマルウェアを感染させることが主な攻撃手法です。 

 代表的なマルウェアには、プログラムに寄生して自己増殖するコンピューターウイルスや、独立して自身を複製し、ネットワークを介して感染を広げるワームなどがあります。 

 感染経路は多岐にわたり、不正なメール添付ファイルの開封や悪意のあるWebサイトへのアクセス、セキュリティホールを突いたネットワーク経由の侵入などがあるため注意が必要です。 

マルウェア感染による被害は深刻で、機密情報の窃取や身代金要求による金銭的損失、システムやサービスの停止による業務中断など、組織に重大な影響を及ぼす可能性があります。 

不正アクセス 

不正アクセスは、権限のない第三者がサーバーや情報システムに不正に侵入する行為です。ゼロデイ攻撃では、まだ修正パッチが提供されていない脆弱性を悪用して、システムの防御を突破し、内部への侵入を試みます。 

不正アクセスによる被害は広範囲に及び、機密情報の窃取やシステムの乗っ取り、重要データの改ざんや破壊などが発生しかねません。特に、企業や組織のコアシステムへの不正アクセスは、業務の停止やサービスの中断を引き起こし、さらには顧客情報の流出などによる深刻な信用失墜にもつながります。 

ゼロデイ攻撃による不正アクセスは、対策が確立していない段階で行われるため、通常のセキュリティ対策では検知や防御が困難です。 

顧客からの信頼を失う 

ゼロデイ攻撃による情報セキュリティ事故は、企業の信頼性とブランド価値に深刻な影響を及ぼしかねません。特に顧客情報や機密データの漏洩が発生した場合、そのニュースはさまざまなメディアで大きく取り上げられ、企業の評判は一気に損なわれます。 

セキュリティ事故が公になると、顧客は自身の個人情報やデータの安全性に不安を覚え、サービスの利用を控えたり、契約を解除したりする可能性もあるでしょう。また、取引先企業も自社のリスク管理の観点から、取引関係の見直しや契約解除を検討する可能性もあります。 

結果として、サービスの売上減少、取引先との契約解除、新規顧客の獲得困難など、企業の事業継続に重大な影響を及ぼすため注意しなければなりません。一度失った信頼を取り戻すには、長期間にわたる地道な努力と、多大なコストが必要です。 

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ゼロデイ攻撃の対策 

ゼロデイ攻撃への対策方法として次の内容を紹介します。 

  • OSを最新の状態にする 
  • アンチウイルスソフトを導入する 
  • ファイアウォールやIDSなどを導入する 
  • セキュリティ対策でEDRを導入する 
  • 社内でセキュリティ研修を実施する 

 それぞれの詳細をみていきましょう。

OSを最新の状態にする

OSやソフトウェアを最新の状態に保つことは、セキュリティ対策の基本的かつ重要な施策です。特に、セキュリティパッチの適用を迅速に行うことで、既知の脆弱性を狙うNデイ攻撃からシステムを保護できます。

最新のアップデートを適用することは、追加の費用をかけることなく実施できる効果的な対策です。多くのOSやソフトウェアは自動更新機能を備えており、システム管理者の負担も比較的軽減されます。

また、定期的なアップデートにより、セキュリティ以外の機能改善やバグ修正も同時に適用できることがメリットです。

一方で、まだベンダーが対策パッチを提供していない段階での攻撃となるため、システムの更新だけではゼロデイ攻撃は防げません。そのため、その他の多層的なセキュリティ対策を併せて実施することが重要です。

アンチウイルスソフトを導入する

最新の高機能なアンチウイルスソフトは、従来型のシグネチャベースの検知に加えて、振る舞い検知などのパターンマッチング以外の先進的な技術を活用し、未知のマルウェアも検出できる可能性があります。 

システムがゼロデイ攻撃を受けた場合、アンチウイルスソフトによるスキャンを実行することで、攻撃を受けた箇所の特定や被害範囲の把握が可能です。また、リアルタイムスキャン機能により、マルウェアの実行を未然に防いだり、感染後速やかに検知して駆除したりできます。 

ただし、新しい攻撃手法や高度に隠蔽されたマルウェアに対しては、アンチウイルスソフトだけでは十分な防御ができない場合もあるでしょう。 

ファイアウォールやIDSなどを導入する 

ファイアウォールやIDS(侵入検知システム)、IPS(侵入防止システム)などのネットワークセキュリティ製品は、ゼロデイ攻撃に対する重要な防御層として機能します。 

ファイアウォールは、ポートとIPアドレスのフィルタリングを行い、不審な通信を遮断する手法で、攻撃者のネットワークへの侵入を防ぎます。次世代ファイアウォールは、アプリケーションレベルでの詳細な制御が可能で、より高度な防御を提供してくれるでしょう。 

IDSは、ネットワーク上のパケットを常時監視し、不正なアクセスや異常な通信パターンを検知します。一方、IPSはIDSの検知機能に加えて、不正な通信を自動的にブロックする機能を持ちます。 

 ファイアウォールやIPS、IDSは、既知の攻撃パターンだけでなく、異常な通信行動を基にした検知も可能なため、ゼロデイ攻撃に対しても一定の効果を発揮できるでしょう。 

 セキュリティ対策でEDRを導入する 

EDR(Endpoint Detection and Response)は、ゼロデイ攻撃のような高度な脅威に対する効果的な対策ツールです。従来型のアンチウイルスソフトとは異なり、EDRはエンドポイントでの詳細な動作監視と、インシデント発生後の対応に重点を置いています。 

 EDRは、各端末でのプロセスの実行状況やファイルの変更、ネットワーク通信など、さまざまな活動をリアルタイムで監視・記録が可能です。収集したデータを高度な分析エンジンで処理することで、通常とは異なる不審な挙動を検知し、攻撃の早期発見を可能にします。 

また、攻撃の経路や影響範囲の特定、感染端末の隔離、マルウェアの除去など、インシデント対応に必要な機能を提供します。ゼロデイ攻撃による被害を最小限に抑え、迅速な復旧を実現可能です。 

社内でセキュリティ研修を実施する 

社内セキュリティ研修は、ゼロデイ攻撃などの高度なサイバー脅威に対する組織全体の対応力を高めるために不可欠な取り組みです。従業員一人ひとりのセキュリティ意識と知識の向上は、企業の防御力を強化する重要な要素となるでしょう。 

定期的な研修を通じて、従業員は最新の攻撃手法や不審な兆候の見分け方を学べます。攻撃の早期発見が可能となり、被害の拡大を防げるでしょう。特に、ゼロデイ攻撃のような高度な脅威に対しては、システムによる自動検知が困難な場合もあるため、人的な監視の重要性が増します。 

また、セキュリティインシデント発生時の報告手順や初期対応など、組織として取るべき行動を従業員が理解することで、迅速かつ適切な対応が可能です。 

ゼロデイ攻撃を受けた時の対処法 

実際にゼロデイ攻撃を受けてしまった際の対処法を次に解説します。 

  • ネットワークを遮断する 
  • 社内で報告をする 

 それぞれの内容をみていきましょう。 

 ネットワークを遮断する 

ゼロデイ攻撃を検知した場合、最も重要かつ緊急な対応は、感染した、もしくは攻撃を受けた端末やシステムをネットワークから即座に切り離すことです。 

ゼロデイ攻撃は、ネットワークを介して感染を広げる特性があるため、一度の侵入で組織全体のシステムに被害が及ぶ可能性があります。サプライチェーン攻撃でなくとも、同一ネットワーク内の他の端末やシステムへと感染が拡大する恐れがあるでしょう。 

したがって、攻撃を検知した場合は、一刻も早くネットワークの遮断を行わなければなりません。遮断の判断や実行に時間的猶予はなく、インシデント対応手順で定められた権限者が、速やかに判断・実行することが求められます。 

社内で報告をする 

ゼロデイ攻撃の発見者は速やかに社内のセキュリティ管理部署へ報告を行うことが重要です。その際、攻撃の検知に至った経緯や現状を、できるだけ詳細に情報提供し、管理部署からの指示を仰ぎます。 

管理部署は報告内容を分析し、被害の状況に応じて適切な対応手順を指示しなければなりません。特に、マルウェア感染や情報漏洩が確認された場合は、警察や監督官庁への報告が必要となる可能性があります。 

対応をスムーズに行うためには、平時から社内でインシデント対応フローを整備し、定期的な訓練を通じて従業員に周知しておくことが重要です。フローには、報告先の連絡先、報告すべき情報の種類、対応の優先順位などを明確に定めておく必要があります。

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今回の記事では、ゼロデイ攻撃の特徴や被害内容を解説しました。ゼロデイ攻撃は、ソフトウェアに対する未解決の脆弱性を狙ったサイバー攻撃です。 

ゼロデイ攻撃は、脆弱性が公表される前に攻撃が行われるため、通常のセキュリティ対策が機能しません。攻撃の被害を最小限に抑えるためにも、「何も信頼しない」を前提に対策を講じるゼロトラストセキュリティの考え方も重要となるでしょう。 

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セキュリティ対策に不安を感じている方は、ぜひ導入を検討してみてください。  

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