セキュリティ対策トリアージの対応方法を解説

近年、デジタル化が進む中で企業や組織が直面するセキュリティ脅威はますます複雑化しています。これらの脅威に効果的に対処するためには、セキュリティ対策におけるトリアージプロセスの重要性が増しています。本記事では、セキュリティインシデントへの初期対応としてのトリアージの役割、それに用いられる指標と対応方法、さらにトリアージを自動化することのメリットを詳しく解説します。

セキュリティ対策のトリアージについて

セキュリティ対策のトリアージの重要性は、日々高まっており、インシデント対応の効率を大幅に向上させるため、正確な実施が求められます。はじめに、インシデント対応とトリアージの重要性を解説します。

トリアージとは

セキュリティ対策におけるトリアージとは、インシデント対応の初期段階に位置する重要な部分です。これは、医療現場のトリアージから発展した概念で、サイバーセキュリティの文脈では、様々なセキュリティ警告やインシデントに対して優先順位を付け、リソースを効率的に割り当てることを指します。

インシデント対応

インシデントが発生した際には、組織は迅速に対応を開始しなければなりません。インシデント対応の速度と正確さが、影響する範囲を最小限に抑えるポイントです。発生したインシデントの重大性を評価し、必要なリソースを適切に配分する能力が求められます。

トリアージを利用することで、全てのアラートや通知を迅速に評価し、それぞれの重要度に基づいて優先順位を設定できるようになります。最も重大なインシデントには即座に多くのリソースが割り当てられ、より小さな問題に対しては過剰反応することなく、対応することができます。

こうすることで組織は効率的に問題を解決し、再発防止策を実行することができます。

トリアージの重要性

トリアージの役割はセキュリティインシデント管理の基盤を形成し、効率的な対応を可能にすることです。また、トリアージを通じて、組織はセキュリティポスチャを継続的に強化し、潜在的なセキュリティリスクを効果的に管理できます。

トリアージを活用することで将来的な脅威に対する準備も整い、セキュリティ事故の発生時にはその影響を最小限に抑えることができるようになります。トリアージは、複雑化するセキュリティ環境の中で組織が一貫して対応策を講じるための重要な手段となります。

セキュリティ対策におけるトリアージの指標

セキュリティインシデントのトリアージでは、効果的な評価基準を設定することが重要です。これにより、リスクの優先順位を正確に決定し、迅速な対応が実現できます。主なトリアージ指標にはCVSSKEV、そしてSSVCが含まれており、これらを適切に活用することで組織はセキュリティリスクを効率的に管理できます。

次の4つの指標を詳しく説明します。

CVSS

CVSS(Common Vulnerability Scoring System)は、セキュリティ脆弱性の重大性を数値で評価する国際標準の指標です。CVSSでは、脆弱性が持つ潜在的な危険性を0から10のスケールで示し、数値が高いほどリスクが大きいと評価されます。
数値は、脆弱性が実際に悪用された場合の影響と、その脆弱性が悪用される可能性を考慮して計算されます。CVSSスコアは、セキュリティチームがどの脆弱性を優先的に対処すべきか判断するための重要なツールとなっており、リソースの配分を最適化するのに役立ちます。

KEV

KEV(Known Exploited Vulnerabilities)は、現実のセキュリティ脅威に即した対応を支援するために、実際に悪用されている脆弱性に焦点を当てたリストです。このリストは米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャ・セキュリティ庁(CISA)によって管理されており、緊急の対応が必要とされる脆弱性が選定されています。
KEVリストを活用することで、セキュリティチームは迅速に対応を行う必要がある高リスクの脆弱性に気づくことができ、効果的な防御策を実施することが可能です。

SSVC

SSVC(Stakeholder-Specific Vulnerability Categorization)は、組織の具体的なニーズや環境に合わせてカスタマイズできる脆弱性評価システムです。SSVCフレームワークは、脆弱性の公開状況、その利用の容易さ、攻撃された際の影響、および組織のリスク許容度を含む多角的な要素からリスクを評価します。
SSCVを活用することで、企業や組織はインシデントの重要度に最も適した脆弱性対応戦略を策定でき、セキュリティの管理を精密に行うことができます。

セキュリティ対策におけるトリアージの対応方法

セキュリティ対策におけるトリアージは、迅速かつ正確な対応を保証するための重要なプロセスです。次にトリアージの対応方法について、自動対応の場合とセキュリティ担当が対応する場合の2パターンを紹介します。

自動で対応

多くのセキュリティインシデントは、自動化技術を利用して効率的に処理することが望まれています。自動トリアージシステムは、入力される脅威への重大性を評価し、ルールに基づき迅速に対応を開始します。

特定の脅威レベルを超えるインシデントが検出された場合、自動的に関連するセキュリティツールが活動を開始し、データの隔離や収集を行います。これにより、即時対応が求められる脅威に対して、時間のロスをすることなく対応することが可能となります。
日常のオペレーションで発生する大量のアラートも効率的に処理され、セキュリティチームはより複雑な問題に集中できる環境が整うでしょう。

セキュリティ担当で対応

自動で対応してくれるといっても、すべてのインシデントが適切に処理されるわけではありません。複雑な状況や高度な脅威に直面した場合には、セキュリティ専門家の判断が不可欠となります。

専門家による手動でのトリアージは、自動システムを補完する形で実施され、より詳細な調査と分析を行います。専門家はインシデントの背後にある原因を深く掘り下げ、適切な対策を策定しなければなりません。
専門家はこの過程で、攻撃の範囲を特定し、将来的に同様の脅威を防ぐための戦略を立案します。また、法的要件や規制遵守の観点からも、適切な対応策を導き出すことが重要となります。

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トリアージを自動化するメリット

トリアージの自動化は、サイバーセキュリティ管理の分野で最新の進歩として注目されており、多くのメリットがあります。次のトリアージの自動化によるメリットを3つ詳しく紹介します。

  • 作業時間の短縮
  • 作業量の削減
  • 優先度の自動判定

作業時間の短縮

自動化トリアージシステムを導入することのメリットは、作業時間の大幅な短縮です。自動化されたトリアージは、インシデントが発生した瞬間に迅速に対応を開始し、オペレーターが手作業で行うよりも速く、効率的に問題を評価し、対処します。

セキュリティアラートが発生した場合、自動化システムは即座にそのアラートの妥当性を評価し、必要な措置を実行します。これにより、重大なインシデントへの反応時間が大幅に削減され、その結果、潜在的な被害を最小限に抑えることが可能になります。

作業量を減らす

トリアージが自動化されることにより、セキュリティチームは日々のルーティン作業を減らすことができます。これまで手動での対応は多くの時間と労力が消費されていましたが、自動化によりその時間を他の重要な業務に充てることができるようになります。

自動化システムは、単純なアラートの処理から複雑なインシデントの初期分析まで、多岐にわたる作業を効率的にこなすことができます。また、ルーティンタスクの自動化はエラー発生を減少させ、一貫した結果をもたらすため、セキュリティチームは戦略的な計画や高度な分析に集中できるようになるでしょう。

優先度が自動判定される

トリアージの自動化によって、インシデントの優先度が自動的に判定されるようになります。優先度が判定されることによって、セキュリティチームは最も重大な脅威に対して迅速に対応することが可能になります。

自動化ツールは、インシデントの特性と潜在的な影響を分析し、それに基づいて対応の優先順位を設定します。大量のアラートが発生する環境下で効果を発揮し、重要な問題を見逃すリスクが少なくなります。また、自動判定システムは過去のインシデントデータから学習し、その判定精度を時間とともに向上させるため、組織のセキュリティ対応は日々進化していくでしょう。

【手動の場合】セキュリティ担当者が行うこと

トリアージは、セキュリティインシデントが発生した際に、セキュリティ担当者が最初に行うべき重要な部分です。これまで自動化のメリット等をお伝えしてきましたが、ここではトリアージに対して担当者が行うことを解説します。

対応の優先順位をつける

セキュリティインシデントが発生した際、すべてのインシデントに対応するわけではなく、対応が必要な事象かどうかを冷静に判断する必要があります。トリアージの段階では、インシデントの緊急性と影響の大きさを評価し、リソースを効率的に配分します。

重要なインシデントには高い優先順位を付け、関係者との情報のやり取りや必要な報告を迅速に行います。これにより、組織はリソースを最も必要とする場所に集中させることができ、全体の対応効率を高めることができるでしょう。

分析を行う

優先順位が付けられたインシデントについては、さらに詳細な事象の分析が行われます。そして、インシデントの原因を特定し、技術的な対応の可否を評価します。場合によっては、他組織との連携が必要になることもあるため、経営層とも連携して迅速な判断が求められます。

問題が解決するまで継続して分析を行い、適切な対応策を実行します。問題が解決した後は関係者への報告とともに、インシデント対応の結果を評価を行い、次回同様のことが起きないように対策を行います。

冷静な判断をする

インシデント対応においては、冷静な判断が何よりも重要です。誤った認識や焦った対応は、さらなる問題を引き起こすことがあります。セキュリティ担当者は、事実に基づき、組織のポリシーに沿って、適切な対応を行う必要があります。

そのため、定期的なトレーニングと継続的な教育が不可欠であり、インシデント発生時にはこれらの知識と経験を活かせるように日頃から訓練を行うことが重要です。

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