
企業が抱える膨大なデータを効率的に管理・活用できるシステムが、ファイルサーバーです。ファイルサーバーは、データの管理・共有を円滑にできる優れたシステムですが、運用のためのルールをしっかりと厳守しないと、大きなトラブルの原因になります。
では、ファイルサーバーの管理に必須のルールとは、いったいどのような内容なのでしょうか。今回は、ファイルサーバーのルールの必要性、ルール内容などについて、詳しく解説します。
記事の最後にはクラウドストレージ ibisStorage (アイビスストレージ) についての紹介もあるので、ぜひ参考にしてください。
目次
ファイルサーバーの管理にはルールが必要
ファイルサーバーの管理を行う際は、決められたルールを守らないといけません。ファイルサーバー管理においてルールが必要なのは、以下の理由のためです。
- ストレージが圧迫されないために必要
- 情報漏洩を防ぐために必要
- 業務効率化アップのために必要
次より、ファイルサーバー管理でルールが必要な3つの理由について、それぞれの内容を説明しましょう。
1. ストレージが圧迫されないために必要
ファイルサーバー管理のルールが必要な理由の一つは、ストレージの圧迫防止のためです。ファイルサーバーは、膨大なデータを格納できるメリットがありますが、計画性を持たずにただデータのアップロードを続けると、あっという間に容量オーバーになります。
容量オーバーになると新規のデータ保存ができなくなり、さらにファイルサーバー経由でのデータ共有も不可能になり、業務に支障をきたすでしょう。
容量オーバーの原因は使用していない古いデータの管理です。必要のないデータを削除せずにそのままサーバーに残しておくと、無駄な容量を使ってしまいます。
ストレージ圧迫の解決策は、ファイルサーバーの容量増加です。しかしそれを実行すると工数とコストがかかります。
ストレージがどこまで余裕があるのか常に管理をするために、ルールが必要です。
ただし昨今のハードディスクは容量単価が下がってきていますので、そこまで神経質になる必要がないかも知れません。
2. 情報漏洩を防ぐために必要
ファイルサーバー管理におけるルールが必要なのは、情報漏洩の防止も理由の一つとして挙げられます。ファイルサーバーは膨大なデータを大勢で一度に共有できることがメリットですが、それにより情報漏洩の可能性も高くなります。
ファイルサーバーを経由して情報の閲覧をしたユーザーの1人が誤操作で、あるいは軽い気持ちで外部に情報を漏らした場合、それが原因でトラブルに発展するかもしれません。
漏洩した情報が企業にとっての重要な情報であれば、それだけ大きな損失となり今後の運営にも大きな影響が出るでしょう。たった1人のちょっとした誤操作で、大きなトラブルになる可能性があります。
トラブル防止のためにもアクセス権限のルールなどを設定して、ユーザー一人ひとりがルールを徹底する必要があります。
たとえばLANの中にファイルサーバーがあるから安心してしまいサーバーへのログイン認証を省略したり、フォルダごとのアクセス権を設定したりせず、全従業員が全フォルダを読み書きできてしまうなどは良くないです。
またファイルサーバーがウィルスに感染すると被害が拡大するためアンチウィルスソフトを導入したほうがよいでしょう。
ウィルスに感染した疑いが発生したときは、いち早くファイルサーバーのLANケーブルを抜くなど訓練をしておくとよいでしょう。
3. 業務効率化アップのために必要
ファイルサーバー管理のルールを強化することは、業務効率化の向上のためにも必要です。ファイルサーバーは、大勢で一つの情報・膨大な情報を共有できます。それにより、一人ひとりに連絡をする手間が省けるため、業務を円滑に進めることが可能です。
しかし共通のルールにそって使用しないと、その便利さがデメリットになります。ファイルサーバーという共通の場所をユーザー一人ひとりが自分勝手に使うと、たくさんのファイル・フォルダが溢れてしまい、どこに何があるのかわからない状態になります。
サーバー内の混乱を招いてしまい、それにより発生するのが業務の非効率化です。効率的に作業を進めるためにも、ルールを設定して常にサーバー内を整理しなくてはいけません。
【データ整理】ファイルサーバーを管理するために必要なルール
ファイルサーバー管理においてデータ整理を円滑に行うためには、どのようなルール設定をすればいいのでしょうか。データ管理におけるルール設定のポイントは、以下の通りです。
- フォルダ構成を統一させる
- フォルダ名とファイル名の付け方を統一させる
- フォルダを作成する条件を決定する
- フォルダの階層を深くしすぎない
- 個人フォルダを作成しない
次より上記に挙げたデータ整理におけるルールの5つのポイントについて、詳しく解説します。
1. フォルダ構成を統一させる
膨大なデータ管理で必要なのは、フォルダ構成の統一です。構成を統一しておけば検索するだけで必要な情報をすぐに発見できて取り出せます。また新規のデータ作成をした場合も、統一されたフォルダに格納することでデータ整理をすることが可能です。
フォルダ構成のルールとしておすすめなものは下記になります。
- 各フォルダは10〜20のフォルダまでしか作らない
- 末端フォルダ以外にファイルを置かない
- フォルダ名は01〜20などの番号を振ってフォルダ名順ソートのときに見やすい順にする
- 最近保存したファイルを良く閲覧し、数年前のファイルは余りみないというようなファイル群の場合は、フォルダ名の先頭に「2024.09内定式」などのように年と月を入れる。または、「2024年」フォルダ、「09月」フォルダなど年別フォルダ月別フォルダを作るなど
フォルダの設置・保管ルールを統一してそれをユーザー全員が共有していれば、膨大なデータの閲覧・保管をスムーズに行えて、業務の効率化が実現します。
2. フォルダ名とファイル名の付け方を統一させる
フォルダ名・ファイル名をわかりやすく統一させるルールを設定することも、データ管理では大切なポイントです。
フォルダ・ファイルの名称に統一性がなく作成者一人ひとりが勝手に付けた名称の場合、必要なデータを探すのに時間がかかります。迅速に必要なデータを発見するためにも、ファルダ名・ファイル名は付け方のルールを統一しなくてはいけません。
文字表記は優先順位の法則があり、以下の文字の順で優先的に上位に表示される仕組みです。
- 記号(「※」「/」「:」など)
- 数字
- アルファベット
- ひらがな・カタカナ
- 漢字
記号の場合は、文字化けする可能性もあるため、数字で表記すればわかりやすくなります。部署や業務別に数字を設定していれば、数字を見ただけでどういう内容のフォルダ・ファイルか判断することが可能です。
3. フォルダを作成する条件を決定する
フォルダ作成のための条件をルールで設定しておくことも、データ管理では大切な要素です。ファイルサーバーは、大勢のユーザーでデータ共有・閲覧・編集ができることがメリットですが、ユーザー一人ひとりが自由にフォルダ作成をすると、容量オーバーを招きます。
必要のないデータが溢れて容量を無駄に消費してしまうと、フォルダ構成の統一というルールを作成しても、フォルダ整理が実践できない恐れがあります。
- フォルダ作成の場合は上司にあたる人物に許可をもらう
- 複数のユーザーが共有するフォルダ以外は作成不可能
上記のようなルールを設けておけば、必要以上のフォルダ作成の抑制、サーバー内の整理ができ、容量を無駄に消費しません。
4. フォルダの階層を深くしすぎない
フォルダの階層を深くしすぎないことも、データ管理の効率化においては大切な要素です。先述したように、フォルダは「年度→部署→業種」といった具合に、フォルダの中にさらにフォルダを設置することによって、ファイルサーバー内を見やすく整理できます。
フォルダの中にフォルダを格納して、さらにそのフォルダの中にフォルダを入れるといった作業を繰り返すと、フォルダの階層がどんどん深くなる仕組みです。
階層が深くなるとフォルダパスが長くなりすぎてしまい、検索性が低下するという事態を招きます。階層を深くすれば、それだけコンパクトにまとまりますが、このような不具合も発生してしまうので注意が必要です。フォルダの階層は3~4階層目までを意識する必要があります。
【アクセス制限】ファイルサーバーを管理するために必要なルール
ファイルサーバー管理では、アクセス制限も重要なポイントです。制限のルールを決めておかないと情報漏洩が起きやすくなり、企業にとって大きな損害が生じる危険性もあります。
ファイルサーバー管理におけるアクセス制限は、以下の項目を押さえてルール作成をすることが大事です。
- アクセス権をつけるルールを決定する
- 外部アクセスのルールを決定する
- ファイル閲覧・変更の監査ログ管理をする
次より、上記の3つのポイントの詳細について説明します。
1. アクセス権をつけるルールを決定する
アクセス権の制限の設定をする前にやるべきことは、アクセス権のルールです。「どのような立場のユーザーがアクセスできるのか」「アクセス制限の管理は誰が行うのか」を決める必要があります。
また、閲覧・編集・ダウンロードといった操作はどこまで可能なのかというルールも、フォルダ・ファイルごとに決めなくてはいけません。
- アクセス権の制限を設定できる人
- アクセスできる範囲
- アクセス先での操作制限
上記のポイントをしっかりと決めておかないと、アクセス権の範囲および操作範囲が曖昧になり、情報漏洩の可能性が高まります。しっかりとルール設定をして、それをユーザーに浸透させることが大事です。
またフォルダごとにアクセス権を付与することができますが、第2階層、第3階層と深いところで個別に設定していくと管理者も利用者も混乱して分からなくなっていきますので、大企業でない限り、第1階層に個別のアクセス権を付与するルールとして方がよいでしょう。
例えば第1階層に各部署名のフォルダを作り、部署名フォルダはその部署の人だけアクセス可能と設定するなどです。
また各フォルダのアクセス権に個別にユーザー追加することもできますが、これを禁止とし、一旦グループを作ってからグループをフォルダのアクセス権に付与し、入社、退社、部署間異動ではユーザーをグループに追加したり、グループから別のグループにユーザーを移動したりし、グループ単位で管理するのがよいでしょう。
2. 外部アクセスのルールを決定する
社内の人間だけでなく外部アクセスに対するルール設定も大切です。ファイルサーバーは、VPN接続機器等と組み合わせて会社に出勤しないリモートワークの従業員・取引先などの外部の人間と共有することもあります。
ファイルサーバーは、同じ情報を社外・外部の人間と簡単に共有でき、業務の効率化を促進できるのが特徴です。しかし外部との情報共有が簡単にできるということは情報漏洩の可能性も高まるため、アクセス権限・操作範囲の設定をしっかりと行わないといけません。また、端末認証をつけることで、サイバー攻撃やパスワード漏えいに対してとても強力なセキュリティ機能になります。端末認証がないと従業員や取引先のうち1名でも簡易なパスワード、パスワード使いまわし、パスワードの漏洩が起きただけで簡単にファイルサーバーにサイバー攻撃者が侵入できてしまいます。
VPN機器は社外から社内のファイルサーバーへアクセスする穴を開けますが、VPN機器のセキュリティパッチの適用不足によりサイバー攻撃者に侵入されることがあります。ランサムウェア被害の7割がVPN機器のセキュリティパッチ適用不足という報告もあります。
このセキュリティパッチ適用の運用を随時行う体制を作るのがなかなか大変でできていない企業が多いです。
外部の人間の誤操作によって大量の情報が流出する恐れもあるため、外部の人間のアクセス可能範囲のルールを決める必要があります。
3. ファイル閲覧・変更の監査ログ管理をする
利用者の利用履歴のチェックも、アクセス制限のルールでは大切な項目です。情報漏洩が発生した場合、まずその原因を追求しなければいけません。原因がわかれば今後の対策を立てやすくなります。
原因を知るためには、ファイル閲覧・編集の監査ログを管理・確認することが大事です。それにより、「いつ・誰が・何を」ダウンロード・編集・閲覧したのかを把握できます。
サーバー利用者に不審な動きがないか、履歴を定期的にチェックすることも、トラブル防止のために実行しなければいけません。
また監査ログは、例えば退職直前に社内の機密情報を大量にダウンロードし機密情報を持ち出して退職した場合、不正競争防止法の刑事事件や損害賠償請求の民事裁判等の証拠になります。監査ログが常に取られていることを従業員に周知することで内部不正の抑止力になります。
ファイルサーバーの代わりにファイル管理をするならクラウドストレージがおすすめ

ファイルサーバーの代わりにファイル管理をするならクラウドストレージの利用がおすすめです。クラウドストレージとは、専門会社と契約してWeb上の共有空間にデータ保管・管理ができるシステムです。クラウドストレージには、以下のようなメリットがあります。
- アクセス権を柔軟で詳細に管理しやすい
- 直感的に操作することができ業務効率化が図れる
- 監査ログを簡単にとることができる
- 容易にストレージ容量を変更することができる
クラウドストレージの4つのメリットについて、次よりそれぞれの詳細を説明しましょう。
1. アクセス権を柔軟で詳細に管理しやすい
クラウドストレージのメリットは、アクセス権の設定を簡単に行える点です。簡単な操作でアクセス権の範囲・操作内容(閲覧・編集など)を設定でき、いつでも変更可能なため、新規ユーザー・外部ユーザーに対しても柔軟に対応できます。
また、フォルダ・ファイルごとのアクセス権限も簡単に設定できるのも、クラウドストレージの特徴です。「アクセス先を知っていれば誰でも閲覧可能」「指名されたユーザーのみ閲覧可能」といった細かい設定を自由にできます。
アクセス権の権限をファイル・フォルダごとに細かく設定しておけば、重要な情報の漏洩を防止できます。また閲覧のみで編集不可能の設定をしておけば、誤操作でデータ消失・漏洩といった失敗が起きる心配はありません。
2. 直感的に操作することができ業務効率化が図れる
操作方法が簡単なのも、クラウドストレージのメリットです。ファイル・フォルダはドラッグ&ドロップで簡単にアップロードできるため、手間がかかりません。
また画面上には検索機能の窓もあるため、検索すれば探しているフォルダ・ファイルをすぐに見つけることが可能です。そして、画面も基本的に見やすいデザインのため、フォルダの整理がしやすいつくりになっています。
特別な難しい操作方法を必要とせず誰でも簡単に使用できるため、データ管理・共有が簡単にでき、それが業務の効率化の促進につながります。
3. 監査ログを簡単にとることができる
情報漏洩・トラブルの原因を探すための監視ログを簡単にとることが可能なのも、クラウドストレージのメリットです。
情報漏洩などのトラブルが発生した場合、その原因の解明をしなければいけません。原因がわかることによってその原因をもとに新たな対策を立てることが可能になり、実現するのが今後のトラブル発生の回避です。そして起きたトラブルに対して早急な対応ができます。
また内部不正の機密情報持ち出しであれば刑事事件、民事裁判での証拠にもなります。監査ログを周知しておくことで、社員による不正の抑止力になります。
クラウドストレージは簡単に監査ログをとることができるので、退職者の情報漏洩などのインシデントが発生しても、素早く対応することが可能です。
トラブルの迅速な対応・今後の対策をしっかりとできるのも、クラウドストレージの強みといえます。
4. 容易にストレージ容量を変更することができる
ストレージ容量の増減が可能なのも、クラウドストレージのメリットです。通常のファイルサーバーサーバーでも容量の増減は可能ですが、ハードディスクを増設し、データ移行をする必要があり、手間と費用と時間がかかります。しかしクラウドストレージは、契約している専門会社にクリック1つで、簡単にストレージ容量を増減をすることが可能です。
クラウドストレージ専門会社によっては無料で利用することも可能ですが、利用可能な容量が少なめに設定されています。
しかし、会社によっては当初はデータ量が少なめで、今後増える可能性が高いというところもあるでしょう。そのような会社は最初は無料プランを選び、保管データが増えてきたら容量の多い有料プランに移行といった手段を選ぶことも可能です。
利用できるストレージは、専門会社によって異なるため、どの会社のプランが自社に適しているのか、複数の会社を事前に比較することが大事です。
クラウドストレージならibisStorage
データ管理・整理にお悩みの方はibisStorage(アイビスストレージ)のご利用を検討してはいかがでしょうか。ibisStorageは、電子帳簿保存法に対応可能な国産クラウドストレージサービスです。電子帳簿保存法のための要件をクリアしつつ、膨大な請求書・領収書の保管を安全に行えます。もちろん通常のオフィス文章、写真、動画、音声など任意のファイルも保存できます。
料金は、以下のような豊富なプランが用意されているため、さまざまなニーズに対応でき、いつでも変更可能です。
- フリープラン(2GB x ユーザー):無料
- スタンダードプラン(300GB x ユーザー)600円 月/ユーザー
- エンタープライズプラン(1TB x ユーザー):1,400円 月/ユーザー
- ユーザー数無制限プラン(1TB):18,000円 /月
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