
近年の働き方改革や新型コロナウイルスの影響によって、クラウドが急速に普及しました。
これは、企業のデータ管理においても例外ではなく、従来のオンプレミスのファイルサーバーから、クラウドストレージへの移行が進んでいます。
現代のデータ管理において、オンプレミスのファイルサーバーには限界と課題があるのも事実です。しかし、「ファイルサーバーからクラウドへ移行するメリットがわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では主に、「ファイルサーバーからクラウド移行するメリット」を解説していきます。デメリットも合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
セキュリティ対策やコスト面でクラウドへ移行しなかったことを後悔しないためにも、慎重に読み進めていきましょう。
目次
ファイルサーバーとクラウドストレージの利用率
クラウドストレージ利用実態調査2022│BizClipによると、企業におけるクラウドストレージ利用率は約5割であることがわかっています。
従業員数が1000人を超える企業では、半数以上がクラウドストレージを利用しており、その数はオンプレミスの数を超えています。

引用元:BizClip
クラウドは近年の働き方改革やコロナ禍で急速に拡大しました。従来オンプレミスのファイルサーバーを利用してきた企業でもクラウドへの移行が進んでいます。IT人材の不足が懸念される現代で、自社に高い技術力を持ったエンジニアが不要となるクラウドストレージの利用はますます拡大していくと予想されています。
ファイルサーバーの限界と課題

現在もデータ管理として利用されているファイルサーバーですが、限界と課題があることは否定できません。ここではファイルサーバーの限界と課題について3点を挙げながら解説していきます。
- 保守運用の工数やコストが高い
- 社外からのアクセスができずリモートワークを実現しにくい
- 容量を簡単に増設することができない
1. 保守運用の工数やコストが高い
ファイルサーバーは保守運用にかかる工数やコストの負担が大きいという課題があります。
ファイルサーバーは物理的なサーバーでもあることから、長く使っていると故障や老朽化が起こります。また、ソフトウェアが更新される度にそれに対応するための保守・運用を行わなくてはならず、セキュリティ面を考えても技術力を持った担当者が不可欠です。
IT人材不足が懸念される現代で、保守運用を行える高度な専門性を持った技術者が数人必要という点を考えても、ファイルサーバーには限界があると言えるでしょう。
一方でクラウドストレージであれば、サーバーはサービス事業者が管理するため、面倒な手間やコストを大きく削減できます。
2. 社外からのアクセスができずリモートワークを実現しにくい
ファイルサーバーは社外からのアクセスができず、リモートワークに対応しにくいというデメリットがあります。
働き方改革やコロナ禍を経て、リモートワークという働き方が当たり前になりました。しかし、ファイルサーバーは社内のネットワークを介してデータにアクセスするため、家や出張中など社外からはアクセスできません。
もしリモートワーク環境を構築するのであれば、VPNの導入や設定が必要になります。しかし、このVPNへのセキュリティパッチ適用が不足すると、ランサムウェア攻撃を受けるリスクが高まり、最悪の場合事業活動停止に追い込まれます。
こういった事態を回避するにはスピーディーなセキュリティパッチ適用が不可欠となりますが、実務上実現が難しいという点もファイルサーバーの課題の1つと言えるでしょう。
しかし、クラウドストレージであればセキュリティパッチもサービス事業者が管理するため、ランサムウェアなど外部からの脅威へのリスクを軽減できます。
3. 容量を簡単に増設することができない
ファイルサーバーはストレージ容量がいっぱいになっても簡単には増設できません。
ファイルサーバーは構築した時点でストレージ容量があらかじめ決まっています。容量を増設するとなるとハードウェアの追加や変更でそれなりに手間がかかります。ストレージ増設後のデータ移行作業もコストがかかります。
しかし容量が不足すると、重要なデータのバックアップがとれなくなるなどの問題が生じるため、放置するわけにはいきません。
クラウドストレージを利用すれば、料金プランの変更のみでストレージ容量を簡単に増設できます。増加するデータの管理もサービス事業者が行うため、負担が増えることもありません。
ファイルサーバーからクラウド移行するメリット

ここまでで、ファイルサーバーの限界と課題について解説してきました。
課題を知って、「クラウドに移行した方がいいのかな?」と思い始めている人もいるでしょう。
そこでここでは、ファイルサーバーからクラウド移行するメリットを6つ解説していきます。
- 運用コストが低い
- 簡単に容量を増設することができる
- 担当者のレベルに依存せずセキュリティを確保できる
- リモートワークへの対応が可能になる
- 容易にバックアップを取ることができる
- 容易にファイル共有を行うことができる
1. 運用コストが低い
クラウドへの移行によって、運用コストを下げることができます。
オンプレミスのファイルサーバーは自社で保守運用を行うため、ランニングコストや技術者の人件費がかかります。
しかし、クラウドストレージはサービス事業者が管理するため、運用コストや人件費を抑えられるというわけです。
もちろんプラン料金は発生しますが、オンプレミスの保守運用にかかる費用と比較すると、大幅なコストカットが見込めるでしょう。
2. 簡単に容量を増設することができる
クラウドストレージはストレージ容量を簡単に増設できます。
前述した通り、オンプレミスのファイルサーバーの容量を増やすとなると、ハードウェアの追加や変更の手間がかかり、データ移行の作業も発生します。
しかし、クラウドストレージであれば、プラン料金の変更のみで増設可能です。
また、クラウドストレージはストレージ容量の増設だけでなく削減も可能なため、会社の規模に合わせた最適なデータ管理を実現します。
3. 担当者のレベルに依存せずセキュリティを確保できる
担当者の知識や経験のレベルに左右されずにセキュリティを確保できるという点も、クラウドストレージのメリットの1つです。
オンプレミスのファイルサーバーの場合、自社のエンジニアが管理を行うため、エンジニアのスキルレベルによってシステムに大きな影響が生じます。スキルレベルが未熟なエンジニアが管理している状態では、セキュリティ対策が万全でないこともありうるでしょう。
一方でクラウドストレージを利用すれば、プロの技術者が管理を行うため、一定のセキュリティが担保されています。
またサーバー利用中にトラブルが生じてもプロに対応してもらえる安心感から、従業員はそれぞれの業務に集中できるでしょう。
4. リモートワークへの対応が可能になる
クラウドストレージに移行すると、リモートワークへの対応が容易になります。
クラウドストレージの大きな特徴の1つに、ネット環境さえあれば場所や時間を問わずデータにアクセスできる、という点があります。
令和5年版 情報通信白書|テレワーク・オンライン会議|総務省によると、令和4年時点で半数以上の企業がテレワーク(リモートワーク)を導入していると回答しました。コロナ禍で急速に拡大したリモートワークですが、この結果を踏まえると、今後も一定水準を維持していくと予想できるでしょう。
しかしながら、オンプレミスのファイルサーバーだと社内のネットワークを介してしかデータにアクセスできないため、リモートワークへの対応は容易ではありません。
また、クラウドストレージは端末認証や接続元IP制限が可能なため、リモートワークでも一定のセキュリティを担保できます。
またテレワークのみならず、複数拠点(オフィスや工場など)での情報共有にも向いています。
これにより、セキュリティ面でネックとなりうる不正アクセスや情報漏洩のリスクも減少するでしょう。
5. 容易にバックアップを取ることができる
バックアップの容易さもファイルサーバーからクラウド移行する大きなメリットの1つです。
クラウドストレージは常時、強固なセキュリティのサーバーにデータをバックアップしています。自動でバックアップできることで、災害など緊急時のBCP対策としても有効です。
6. 容易にファイル共有を行うことができる
クラウドストレージの利用によって、ファイル共有が容易になります。
クラウドストレージはネット環境さえあれば、いつでもどこでもデータへのアクセスが可能です。また、同一のデータに対して、複数人数で同時アクセスして閲覧もできます。これにより、たとえば取引先とクラウド上の特定のデータを共有しながら、会議を進めることも可能になります。
Webブラウザベースのクラウドストレージであれば、ブラウザのURLを社内のチャットツール等で共有することも簡単です。
取引先に大容量のデータを持ち出す必要もなく、従業員の作業負担も軽減できるでしょう。
ファイルサーバーからクラウド移行するデメリット
前の項でファイルサーバーからクラウド移行するメリットを解説しました。
しかし、メリットもあればデメリットもあります。
ここでは、ファイルサーバーからクラウド移行するデメリットを解説していきます。
オンプレミスと比較をしてカスタマイズが低い
クラウドストレージはオンプレミスと比較すると、カスタマイズがしにくいというデメリットがあります。
オンプレミスのファイルサーバーは自社のポリシーや使用用途に合わせて、細かいカスタマイズができます。しかし、クラウドストレージはサービス事業者が設定する機能に依存するため、オンプレミスほど自由なカスタマイズはできません。
そのため、クラウドストレージを選ぶ際はあらかじめ、自社が重視する機能やセキュリティレベルを明確にしておく必要があります。無料プランや無料トライアルがあるクラウドストレージを試してみるのもおすすめです。
次の項で、無料のトライアル期間を実施しているクラウドストレージを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ファイルサーバーから移行する際におすすめのクラウドストレージ
ここまでで、ファイルサーバーからクラウド移行するメリットやデメリットを解説してきました。概要を理解したことで、どんなクラウドストレージがあるのか気になってきた方もいるのではないでしょうか。
ここでは、ファイルサーバーからクラウド移行する際におすすめのクラウドストレージを2つ紹介していきます。気になったサービスがある方は、無料プランや無料トライアルで実際の使用感を体験してみましょう。
ibisStorage

引用元:ibisStorage
【ibisStorageのおすすめポイント】
- ゼロトラストセキュリティ
- リアルタイムでの3重のバックアップ
- 旧システムからの移行をサポート
- 電子帳簿保存法に対応
- Windows, macOS, iPhone, iPad, Androidに対応
ibisStorage (アイビスストレージ) は、株式会社アイビスが提供する国産のクラウドストレージです。
承認されたユーザーのパソコンからのアクセスのみを許可する「ゼロトラストセキュリティ」によって、安全なデータ管理を提供しています。バックアップはリアルタイムで3重にとっているため、トラブルが起きた際にもデータが消失するリスクはほとんどありません。
また、2022年1月に改正された電子帳簿保存法にも対応しており、複雑な要件を満たした保存方法で領収書や請求書を保存できます。
ibisStorageは現在、30日間の無料トライアルを実施しています。ユーザー数無制限で1TBまで使える「ユーザー数無制限プラン」も対象となっていますので、クラウドへの移行を検討している方はぜひ、お問い合わせください。
プラン名 | フリープラン | スタンダードプラン | エンタープライズプラン | ユーザー数無制限プラン |
---|---|---|---|---|
料金 | 無料 | 月額600円/ユーザー(税別) | 月額1,400円/ユーザー(税別) | 月額18,000円(税別) |
端末認証 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
アクセス権限 |
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ストレージ容量 | 2GB x ユーザー | 300GB x ユーザー | 1TB x ユーザー | 1TB |
ユーザー数 | 1名 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
Dropbox

引用元:Dropbox
【Dropboxのおすすめポイント】
- シンプルな管理画面
- モバイルアプリ
Dropboxは、アメリカに本社を置くDropbox社が提供するクラウドストレージです。
業務に必要な機能が1カ所に集約されたシンプルな管理画面であるため、専門知識が無い方でも操作しやすくなっています。
また、モバイルアプリをダウンロードすればスマートフォンからでもデータの閲覧が可能です。
ストレージ単体としてのサービスであるため豊富な機能などはありませんが、その分処理スピードが早く、データ共有での利用としては十分でしょう。
しかし、会社支給のPCのみアクセスを許可するなどの端末認証に対応していないため、高度なセキュリティを求めている方にはあまりおすすめしません。
プラン名 | Business | Business Plus |
---|---|---|
料金 | 1ユーザーあたり¥1,500/月 | 1ユーザーあたり¥2,400/月 |
端末認証 | ✕ | ✕ |
アクセス権限 |
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ストレージ容量 | チーム全体で9TB | チーム全体で15TB |
ユーザー数 | 3人以上 | 3人以上 |
ファイルサーバーからクラウド移行する際の注意点
前の項でおすすめのクラウドストレージを紹介しました。
ここではファイルサーバーからクラウド移行する際に注意すべきポイントを3つ紹介していきます。
- 端末認証機能があるか
- 操作性や自社にマッチする機能があるか
- 料金体系が自社にマッチしているか
1. 端末認証機能があるか
クラウドストレージへのアクセスで端末認証を強制できるか。
端末認証とは、端末が持つ固有の識別情報を認識して、承認された端末か否かを確認するセキュリティ機能です。承認されていない端末は一切データにアクセスできないため、サーバー攻撃に対して強力な効果を持ちます。
また従業員のうちひとりでも安易なパスワードの使用、パスワードの使い回し(他のサイトで使用したパスワードと同じパスワード)、パスワード漏洩を起こすと会社の機密情報が漏洩しますが、端末認証があればパスワードが漏洩しただけではアクセスできないので安心です。
従来のセキュリティ対策は「どこからアクセスされているか」(社内LANの中からなど)が重要視されていました。しかし、端末認証は「どの端末から誰がアクセスしているか」を識別できるため、さらに高いレベルで情報の漏洩のリスクに備えることができます。
2. 操作性や自社にマッチする機能があるか
クラウドストレージの機能や操作性は、導入前に慎重に確認しておく必要があります。
サービスによって、搭載される機能やインターフェース・操作性は大きく異なります。特にインターフェースや操作性は従業員の作業効率に大きく関わります。そのため、自社の課題に合わせて、必要な機能を明確にしておくことが重要です。
また、社内にはパソコンや電子機器が苦手な従業員もいます。クラウドストレージを導入する前に、無料トライアルを利用して操作感を体験しておくことでスムーズな導入に繋がるでしょう。
3. 料金体系が自社にマッチしているか
クラウドストレージの料金体系も導入前に注意してほしいポイントの1つです。
料金プランはサービスによって様々です。特にユーザーごとの契約か、チームごとの契約かは最終的にかかる費用に大きく影響します。小規模な会社の場合はユーザーごとの契約ができると、無駄なコストをかけずにデータ管理できるでしょう。また、ユーザー無制限でストレージ容量や機能が異なる、などの料金体系もあります。
自社の規模や利用目的に合わせて、最適な料金体系のクラウドストレージを選びましょう。
ファイルサーバーからクラウド移行するならibisStorage
この記事では、ファイルサーバーからクラウド移行するメリットやデメリットなどを解説してきました。
オンプレミスのファイルサーバーは自社でサーバーを管理するため、保守運用に多額のコストがかかります。一方でクラウドストレージはサービス事業者が管理を行うため、バックアップやセキュリティ対策など面倒な手間や維持するためのコストがかかりません。
ibisStorage(アイビスストレージ)はゼロトラストの端末認証によって、高度なセキュリティを提供しています。また電子帳簿保存法にも対応しているため、AI-OCRでスピーディに電子帳簿の保存要件を満たした領収書や請求書の保存ができます。
ibisStorageは「ユーザー数無制限プラン」や「エンタープライズプラン」も対象の30日間の無料トライアルもあります。機能や使い勝手を試してみるとよいでしょう。