NDRとは?仕組みや機能、メリットを解説

NDRは、2020年代に入り、その技術が進化し一般化した比較的新しいセキュリティ対策です。ネットワーク上の脅威を速やかに検知し、求められる対応を実行できる仕組みであり、高度化する脅威への対処を目的として導入を検討する方も多いでしょう。

本記事では、NDRの仕組みや機能、メリットを解説します。併せて、導入時の注意点にも触れるので検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

NDRとは

まず、NDRの概要や仕組みと併せて、よく似たセキュリティシステムとの違いを解説します。

NDRについて

NDRは「Network Detection and Response」の略称です。ネットワーク全体を包括的に監視するシステムで、脅威を速やかに検知して対応するセキュリティ手法を指します。

ネットワーク上で送受信されるデータの量や流れ(トラフィック)を継続的に監視し、社内外を問わずサイバー攻撃や不正アクセスなどの異常な動作を可視化・検知することが可能です。

NDRというセキュリティ手法が発展や進化したのは2020年代と比較的新しく、アメリカのITアドバイザリー企業「Gartner社」によって定義されました。従来のセキュリティ対策では、既知の脅威に向けた対策がメインでしたが、NDRの登場により新種や亜種のウイルス対策も実現しています。

NDRの仕組み

NDRでは、ネットワーク上のあらゆるトラフィックを対象に、IPアドレスやポート、プロトコルなどの接続情報(メタデータ)や処理を実行した記録(ログデータ)を収集します。

一般的なNDRには、AI技術が搭載されており、正常な状態を学習したうえで、異常な動きを検知することが可能です。また、収集したログと照らし合わせながら脅威を可視化できるため、既知のウイルスだけでなく、これまでにない新種や亜種、巧妙化する脅威なども見逃す確率が低くなっています。

最終的に、対応すべき脅威と検知されると、アラートによって管理者に通報するともに、即座に不正な通信を遮断するほか、マルウェアを隔離して感染拡大を防止する流れです。これらの一連の流れは、すべて自動的に実行されます。

XDRとの違い

XDRは「Extended Detection and Response」の略称で、NDRと同じくセキュリティ対策を目的としたシステムです。

NDRとの大きな違いとして対象領域が挙げられます。NDRがネットワークトラフィック全体を監視するのに対して、XDRはネットワークに加えてエンドポイントやクラウドなども対象です。また、NDRは、ネットワーク上の異常な動きを検出・対応することが目的ですが、XDRでは複数のレイヤーにわたって脅威の監視・検知・対処を実行します。

こうした違いから、NDRはネットワークインフラをメインとしたセキュリティ対策を求める場合に用いられるケースが一般的です。一方で、XDRは組織全体のセキュリティ体制を統合・強化する際に適しています。

EDRとの違い

EDRは「Endpoint Detection and Response」の略称で、パソコンやスマートフォン、タブレットなど通信ネットワークに接続されたデバイスのセキュリティ対策に特化したシステムです。

NDRがネットワーク全体を監視する一方で、EDRはエンドポイントからデータを収集して、異常な動きや脅威を検知します。また、インシデント対応機能も備わっており、万が一エンドポイントに脅威が侵入した場合も、迅速に対応して被害の拡大を防ぐことが可能です。

このように、EDRとNDRは対象が異なり、片方だけでは十分なセキュリティ体制が構築できません。より効果的なセキュリティ対策を講じるためにも、併用したほうが賢明です。

NDRが必要な理由

近年、サイバー攻撃は巧妙化し続けており、世界的にも多くの企業や組織が被害に見舞われています。日本の中小企業も例外ではなく、万が一サイバー攻撃を受ければ、自社だけでなく取引先や顧客にも悪影響が及ぶ恐れもあるでしょう。

また、クラウドサービスやテレワークが浸透して、ネットワークが複雑化した点も脅威から企業を守るうえで課題となっています。

こうしたなかで、脅威に対して迅速かつ的確な対処をするために、いち早く脅威を検知・対処可能なアプローチを導入しなければなりません。NDRは、直接的には観察できないネットワーク内部を可視化することが可能であり、脅威が検知された場合は速やかに対処して拡大を防ぎます。

NDRの機能

NDRには多様な機能が備わっています。ここでは主な機能を3つ解説します。

通信状況の可視化

NDRでは、ネットワーク上のトラフィックを詳細に記録するため、リアルタイムで状況を可視化できます。

しかし、テレワークやモバイルワークの浸透、クラウドサービスの利用増加により、昨今において社内だけでなく社外を含めたネットワーク全体を保護しなければなりません。
NDRの可視化機能は、社内外のすべての通信を対象としており、「何も信用しない」という考え方を前提にしたゼロトラストセキュリティを実現するうえでも重要な機能です。

AI分析が可能

AI技術を活用した脅威の自動分析も、NDRに備わっている機能のひとつです。AIにより正常な通信パターンを学習し、これを基準にして異常な行動を検出します。

また、検出された脅威の情報を細かく記録し、膨大なデータ処理をすることも可能です。手動では困難な作業であり、AI分析ができる NDRだからこそ実現できる機能といえるでしょう。
分析されたあらゆる通信状況に関するログを統合すると、ネットワーク全体を網羅した脅威検出につながります。これにより、従来のセキュリティ対策ではすり抜けていた脅威を見逃す確率が低下し、セキュリティレベルが格段に向上するでしょう。

異常を迅速に検知

NDRを導入すると、万が一ネットワーク上に異常が見られた場合も迅速に検知することが可能です。
検知された内容は、速やかに管理者に通知されるため、即座に対応できる点もセキュリティ対策向上につながる効果的な機能といえます。 

従来のセキュリティ対策では、既知のウイルスをメインに検知していました。しかし、脅威の高度化・巧妙化が進む現代において、既知のウイルス対策だけでは十分な対処ができません。その点、NDRであればAIの学習機能を活用して新種や亜種などの未知の脅威の検知が可能です。

これまでにはないセキュリティインシデントが発生したとしても、迅速な通知によりセキュリティチームが的確に対応できるため、被害拡大の軽減が期待できます。

NDRを導入するメリット

前述したように、NDRには通信状況の可視化やAIによる学習機能など多様な機能が備わっています。これにより、セキュリティチームの負担軽減やセキュリティ強化などのメリットがある点も魅力です。ここでは、NDRを導入する主なメリットを3つ解説します。

工数の削減

NDRを導入する大きなメリットのひとつが、脅威の検出や分析、対処にかかる工数を大幅に削減できる点です。
従来のセキュリティ対策では、セキュリティチームの手作業に頼る部分も多く負担がかかる点がデメリットでした。また、迅速な対処が難しい点も課題となっていました。

一方で、NDRでは脅威対応に関するプロセスの自動化が可能です。また、これまで目視できなかったネットワーク上の脅威も可視化されるようになるため、効率的なセキュリティ対策につながります。

加えて、負担が軽減される分、より重大なインシデントが発生した際に注力して対応できる点も魅力です。

脅威に対して迅速に対応できる

NDRでは、ネットワーク上で発生した異常な動きが可視化されるため、その都度手作業で検証する必要がありません。一目で脅威と判断されることから、迅速な対応ができる点も大きなメリットです。

また、AIの学習機能が備わっていることから、正常な通信状況と比較しながら未知の脅威を速やかに検出できます。検出された脅威については、即座にアラートで管理者に通知される仕組みです。これにより、正常なネットワークから切り離し、被害の拡大を未然に防止できます。

セキュリティ強化

NDRの特徴であるネットワーク全体の可視化は、外部からの脅威だけでなく内部ネットワークに侵入した脅威や内部不正も検知できます。
従来の境界型セキュリティでは、外部の脅威に注目しすぎるあまり、内部脅威を見逃しやすい課題がありました。その点、NDRでは「ゼロトラスト(何も信用しない)」という観点でセキュリティ対策を施すため、社内外を問わず確実に脅威を検出・対処できます。

また、外部のネットワークも対象となり、リモートワーク中のデバイスやトラフィックの監視にも効果的です。

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NDR導入時に気を付けること

セキュリティ対策強化に役立つNDRですが、導入時には注意すべき点もあります。ここでは、NDR導入時に気をつけるポイントを2つ解説します。

運用に伴う負担

NDRでは、膨大なログデータを管理・分析しながら、未知の脅威にも対応しています。基本的に、AI技術によって自動分析されるため負担は軽減されますが、最終的なチェックはセキュリティチームの担当者が実行しなければなりません。

たとえば、ネットワーク内で発生するすべての異常にアラートが通知されれば、その分運用負担が増大してしまいます。また、高度なセキュリティシステムであるNDRを効果的に運用するには、セキュリティチームのスキルも問われるでしょう。

運用の負担を軽減するためには、アラート管理やセキュリティチームのトレーニングも必要です。また、ほかのセキュリティシステムと組み合わせた運用負担軽減も検討しましょう。

NDRは万能ではない

NDRは、ゼロトラストを実現するうえで欠かせないセキュリティシステムです。しかし、NDRはネットワーク上の脅威に特化した仕組みであり、万能とはいえません。

たとえば、エンドポイントの脅威については、EDRを利用したほうが賢明です。また、クラウドを安心して使用するには、クラウドサービスの可視化に役立つCASBとの併用も効果的でしょう。

確かに、NDRはAI技術を搭載した高度なセキュリティシステムですが、単一に絞ってしまうのは大変危険です。巧妙化・高度化する脅威に対処するためにも、NDRだけに頼るのではなく、複数のシステムを活用しながら対策を施すことをおすすめします。

セキュリティ対策におすすめ「ibisStorage」を紹介

NDRは、ネットワーク上を包括的に監視し、AI技術により速やかな脅威の検知・対処が可能なシステムです。セキュリティ対策強化やセキュリティチームの負担軽減に役立ちますが、すべての脅威に適しているわけではありません。 

 ネットワークだけでなく、エンドポイントやクラウド上などあらゆる箇所のセキュリティ対策が求められます。 

より強度なセキュリティを求めている方におすすめしたいサービスが「ibisStorage」(アイビスストレージ)です。ibisStorageは、ゼロトラストセキュリティを採用したクラウドストレージサービスであり、強固なセキュリティで社内外からの脅威から情報を守ります。 

 たとえば、未承認のパソコンからのアクセスを防ぐ「端末認証機能」や接続元のIPアドレスを使用して利用者を制限する「接続元IP制限機能」などが備わっており、安心・安全にサービスを使用することが可能です。 

ネットワークのセキュリティ強化を検討中の方は、ぜひibisStorageの導入をご検討ください。  

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