電子帳簿保存法対応のデータの保存場所とは?保存先の選び方もあわせて解説

電子帳簿保存法に則った書類・データの保存を実践する際は、保存場所の選定に困ることがあります。

保存場所次第でセキュリティ性の高さや管理しやすさなどは変わるため、安全かつ効率よく書類の電子化を始めるなら、保存場所はどこが良いか事前に見極めておく必要があります。

そこで今回は、電子帳簿保存法に対応した書類データの保存場所として適切な場所を紹介していきます。

あわせて保存場所の選び方も整理していくため、ポイントを押さえたうえで適切に書類の電子化を行いましょう。

電子帳簿保存法に即した書類データ、保存場所はどこが適切?

電子帳簿保存法に則って各種書類を電子化する場合、保存場所はどこが適切なのか、保存を始める際は迷うものです。

保存場所の選択肢として挙げられるのは、以下があります。

  1. 自社サーバー・ハードディスク上
  2. クラウドストレージ上
  3. CD・DVDなどのメディア

保存場所によって扱いやすさやセキュリティ性などは異なるため、それぞれの特徴をよく理解したうえで、場所を検討する必要があります。

では、それぞれの特徴や保存するうえで注意したいポイントなどを解説していきます。

1. 自社サーバー・ハードディスク上

電子帳簿保存法に対応した書類データは、自社サーバーやNAS、ハードディスクに保存する選択肢が挙げられます。

社内で完結する保存場所のため、外部のクラウドストレージなどと比べると、よりセキュリティ性の高さを担保できることがメリットです。

すぐに保存できるため、管理しやすさも利点といえるでしょう。

ただし電子保存する際は、電子帳簿保存法の保存要件を満たす必要があります。電子データ改ざん防止策が取られているか、取引金額や取引先、日付で検索ができるかが肝心です。

自社のサーバーやハードディスクが要件を満たさない場合は、電子帳簿保存法に対応しているクラウドストレージシステムの導入を検討すると良いでしょう。

また、保存要件を満たしていて検索が可能な場合でも、自社サーバーやNAS、ハードディスク上には多くのデータが保存されているため、探しやすい状態にしておかなければ、必要な書類をすぐに確認できなくなってしまいます。

また、自社サーバー・NAS、ハードディスク上で扱いやすいとはいえ、誰でも簡単にアクセスできる状態にするのはセキュリティ上好ましくありません。

データの定期的なバックアップや、障害時に向けた事故対策マニュアル、ストレージフルになったときのハードディスク増設作業、データ移動作業なども発生します。

また拠点を超えたアクセスやテレワーク対応のためにVPN接続で社外からアクセスする場合もありますが、VPNのセキュリティパッチの適用不足からランサムウェア(身代金要求)攻撃を受ける場合もあります。

保管ディレクトリごとにパスワードを設定したりアクセス制限をかけたりして、データの持ち出しリスクを抑えましょう。

2. クラウドストレージ

電子帳簿保存法に即して書類を電子保存する場合は、保存場所の選択肢として、クラウドストレージも挙げられるでしょう。

クラウドはオンライン上に構築されたストレージのため、情報の共有や外部からのアクセスがスムーズなのが大きなメリットです。

そのため共有することの多いデータや、社外からアクセスする必要があるデータなどは、クラウドストレージ上での保存が向いているでしょう。

さらに自社サーバーを持つ必要もないため、運用の手間もかかりません。

近年は、電子帳簿保存法対応の機能が活用できるクラウドストレージサービスも登場しているため、クラウドストレージでの電子保存を検討している場合は利用を考えてみましょう。

ただし、クラウドストレージでの書類の電子保存では、セキュリティがしっかりしているシステムを選ぶ必要があります。

外部からアクセスして扱う性質上、社内で保存するより、クラウドストレージには不正アクセスによる情報漏洩のリスクが伴います。

そのためクラウドストレージを活用する際は、優れたセキュリティ性能・機能を持つサービスを選ぶことが必要不可欠です。特にゼロトラストセキュリティ対応、二要素認証、アクセス権限管理、監査ログ、暗号化通信などセキュリティレベルの高いものを選択しましょう。

3. CD・DVDなどのメディア

CD・DVDなどのメディアを活用し、書類を電子保存する方法もあります。

外部メディアを使うため、社内のサーバーやハードディスクの容量を圧迫せずに済むメリットがあります。

保存する際は自社サーバーに保存するときと同様に、保存に関するルールを明確に設定し、検索性の確保を忘れないようにしましょう。

ただし、CDやDVD自体の数が増えれば、紙ベースで書類を保存していたときと同様に保管スペースを取ってしまう恐れがあります。また、紛失をしたり、メディアを探す手間、メディアが劣化していないかの定期的な確認や定期的なバックアップ等デメリットも多いです。

紙と比べると量自体は抑えられますが、CD・DVD自体を保管する手間が増えることは事実です。

また、社外持ち出しのリスクも伴うため、セキュリティ性を高められる安全対策は徹底しましょう。

なお、保存可能なメディアの種類はほかにUSBメモリやSDカード、外付けハードディスクなどが挙げられます。

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電子帳簿保存法に対応したデータの保存場所の選び方

電子帳簿保存法対応の書類データの保存場所は、自社サーバーやNAS、クラウドストレージ、CDやDVDなどのメディア類が選択肢として挙げられますが、具体的にこれらはどう選ぶべきか、電子化を始める際は困ってしまうことも多いです。

保存場所を選ぶポイントは、次のとおりです。

  1. アクセスしやすさで決める
  2. 管理しやすさで決める
  3. セキュリティ重視で決める
  4. 保存可能な容量で決める
  5. 書類の種類で分ける

1. アクセスしやすさで決める

まず、保存場所を選ぶ際は、アクセスしやすさで決める方法があります。

頻繁に確認が必要な書類データを電子帳簿保存法に則って保存する場合は、スムーズにアクセスできることが重要になるでしょう。

なお、社内からアクセスしやすいことを重視するなら、社内サーバーやNAS、ハードディスク、もしくはクラウドストレージが適しています。

外部メディアは、端末とメディアの接続が必要になる場合が多いため、ひと手間が加わることで作業効率も落ちてしまいます。

また、社外からアクセスしやすいことを重視するなら、保存場所はクラウドストレージが望ましいでしょう。

クラウドストレージならオンライン上にデータが保存されるため、安全に管理すれば、社外からでもスムーズにアクセスできます。

2. 管理しやすさで決める

保存場所は、管理しやすさで決める方法もあります。

社内サーバーやNAS、クラウドストレージ、外部メディア、いずれもさまざまな面で管理しやすいといえるため、どのような点で管理しやすいのかを整理したうえで保存場所を選びましょう。

保存場所 管理しやすさ
社内サーバー、NAS 自社で構築したサーバーのため、既存システムとの連携性も高くカスタマイズされており、必要に応じて電子帳簿保存法に対応するかたちでのカスタマイズも可能
クラウドストレージ 特に電子帳簿保存法対応のクラウドストレージは電子化した書類を保存しやすく、オンラインでどこからでもアクセスできるからこそ管理もスムーズ
外部メディア どのメディアにどのファイルがあるかの管理等が手間。紛失しないように管理。メディアの劣化による破損等のデメリットが大きい。

管理しやすい保存場所を選べば、保存に関する手間がかからなくなるため、作業効率もアップするでしょう。

3. セキュリティ重視で決める

電子保存した書類データは、やはりセキュリティ性に優れた保存場所で保管することが大事です。

書類電子化による懸念点の一つに情報漏洩があるため、電子化を進める際は、情報漏洩や不正な持ち出しなどは起こらないか不安に感じている人は多いでしょう。

情報漏洩によって事業に関わる機密情報が流出すれば、売上を大きく左右するトラブルになりえます。また、顧客情報などが流出すれば、大きな信用問題に発展するケースも十分に考えられるでしょう。

クラウドストレージシステムの中には、ゼロトラストセキュリティ対応、多要素認証、フォルダへのアクセス制限機能や、万一情報漏洩が起こった場合に履歴を確認することができる監査ログ機能などを備えたものもあります。

クラウドストレージを選ぶ際は、セキュリティ面を重視して選ぶと安心です。

自社サーバーやNAS、ハードディスクは、社内で完結する保存場所のため、外部からアクセスしにくくセキュリティ水準が高いことが特徴ですが、複数拠点間接続やテレワーク対応のためにVPNを入れることがありますが、VPN機器のセキュリティパッチ適用不足によるランサムウェア(身代金要求)の事故も増えてきています。

ほかには、オンラインでアクセスできないという意味では外部メディアも利用可能ですが、外部メディアはメディアそのものを紛失したり持ち出されたり、メディアの劣化により破損するリスクがあるため注意が必要です。

4. 保存可能な容量で決める

保存するファイルの容量を考慮し、適切な保存場所を選ぶアプローチもあります。

たくさんの書類を電子保存する場合は、やはり容量の大きい保存場所を選ぶことが大切です。

大容量の保存場所は、社内サーバーやNAS、ハードディスク、クラウドストレージなどが挙げられます。

特にクラウドストレージは契約するプランによって容量を選ぶことができるので無駄がありません。また、容量が足りなくなっても後から追加したりと、使用状況によって柔軟に変更できる点がメリットです。

大容量の外部メディアもありますが、持ち出せるメディアという性質上、持ち出せないストレージと比べると容量の大きさはやはり劣る傾向といえます。

5. 書類の種類で分ける

電子帳簿保存法に対応するかたちで電子保存した書類は、種類ごとに保存場所を分ける方法もあります。

たとえば電子取引関係の書類はクラウドストレージに、その他の書類は自社サーバー内に…といった分け方です。

種類ごとに合った保存場所を選べば、それぞれの書類をスムーズに管理できます。

ただし、保存場所の選択肢を増やしすぎるとかえって管理業務が煩雑になるため、あくまで管理しやすい範囲で分けることが大切です。

一元管理するのであれば、フォルダ管理でき、フォルダ別にアクセス権管理ができ、任意のファイルを保存できる電子帳簿保存対応のクラウドストレージがよいでしょう。

電子帳簿保存法に則った書類の保存分類は3つ

電子帳簿保存法に対応するためには、保存分類やそれぞれの保存要件などのルールをしっかりと理解しておく必要があります。

ここからは、3つの保存分類について解説していきます。

  1. 電子帳簿等保存
  2. スキャナ保存
  3. 電子取引データ保存

どのような書類・データが該当するのかもあわせて確認しながら、保存分類と要件を整理し、適切な方法で電子保存を行いましょう。

1. 電子帳簿等保存

国税に関係する帳簿などの書類を保存する際は、請求システムや会計ソフトなどで作成したデータをそのまま保存しておくことが可能です。

該当する書類は、以下が挙げられます。

  • 仕訳表
  • 売上台帳
  • 総勘定元帳
  • 貸借対照表
  • 損益計算書

基本的に国税に関係する書類、決算に関係する書類が当てはまることを覚えておきましょう。

電子帳簿等保存の保存要件

仕訳表や売上台帳などのデータを保存する際は、原則として以下の要件を満たす必要があります。

  • システム概要書の備え付け
  • 見読可能装置等の備え付け
  • 税務署によるダウンロード要請に対応可能な状態
  • 訂正削除ログもあわせて保存
  • 帳簿との相互関連性がわかる状態
  • 検索性の確保

見読可能装置は、保存してあるデータを見たり読んだりできる装置のことで、主にパソコンのモニターや印刷機器などを指します。

※ 必須要件ではありませんが、すべて満たしていることで、過少申告加算税における軽減措置の対象となります。

2. スキャナ保存

紙ベースの書類は、スキャナーで取り込んで電子データ化することでも保存が可能です。

スキャナ保存できる書類については、以下のように分類があり、それぞれで保存要件が異なる仕組みです。

【重要書類】

  • 請求書
  • 領収書
  • 契約書など

【一般書類】

  • 注文書
  • 見積書
  • 検収書など

紙で作成されたこれらの書類は、スキャナ保存で電子化が可能です。

スキャナ保存の保存要件

スキャナ保存では、まず、重要書類に該当する書類の保存要件として、以下を徹底する必要があります。

  • 入力期間の制限
  • タイムスタンプあり
  • 指定の解像度でのスキャン
  • カラー画像でのスキャン
  • バージョンの管理
  • 帳簿との相互関連性がわかる状態
  • システム概要書の備え付け
  • 見読可能装置等の備え付け
  • 検索性の確保
  • 速やかに出力できる

スキャナ保存の場合、守らなければならない要件が多いため注意が必要です。

いずれか一つでも要件を満たしていないと、電子帳簿保存法違反となる恐れがあります。

3. 電子取引データ保存

取引に関わる書類の中で、電子契約やメールで受領したデータは、そのまま電子のまま保存する必要があります。これが電子帳簿保存の義務化という法改正です。

一方で、間違って認識してしまいがちですが、印刷したメール文章などは適切な保存方法として認められていないため注意が必要です。

電子取引のデータにもいくつかの保存要件が設定されているため、要件はしっかりチェックしておきましょう。

電子取引データの保存要件

電子取引のデータを保存する場合、要件は以下が挙げられます。

  • 改ざん防止の措置を加える
  • 見読可能装置等の備え付け
  • 検索性の確保

改ざん防止の措置にはいくつかの方法が認められており、代表的なものでいうとタイムスタンプや訂正削除履歴の保存などがあります。

まとめ

電子帳簿保存法に則って書類の電子化を進める際は、適切な保存場所についても整理しておきましょう。

保存場所によってアクセスしやすさや共有しやすさ、管理にかかる手間とコスト、セキュリティ水準などは異なります。

また、電子帳簿保存法では保存分類ごとに複数の保存要件が設定されているため、保存要件を満たす保存方法も徹底する必要があります。

保存場所・保存要件について十分に理解を深めたうえで、書類の電子保存を実践し、あらゆる業務の効率化を図りましょう。

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